見上げた空の色はあの日のまま、何処までも何処までも限り無く澄んでいた。
隣り合った愛おしい体温を逃がさないように強く手を握る。自分より低い位置にある頭が此方を見て優しく微笑んだ。
今まで沢山傷付いて苦しんで涙を流した。彼女にはいつも辛い道ばかり選ばせて、女らしいことは何一つさせてやれなかった。だからこれからは。
彼女のしたいことを全てさせてあげたい。彼女が望むこと願うこと、全部全部叶えてあげたい。目一杯甘やかしてあげたいし、四六時中好きだと囁いて抱き締めていたい。
例えもうこの身に残された時間が僅かであったとしても。
「土方さん」
「…ん?」
握り締めた手は温かく、囁かれる声は優しく、その笑顔は何よりも愛おしい。
「私、とっても幸せです」
「……あぁ、俺もだ」


したいことやりたいことは沢山ある。でも取り敢えず、まずはこの愛おしい彼女に愛を囁くことから始めようか。





090313/有海
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