※エピローグ後、カムクラくんのスキルを受け継いだ日向くん(プログラムから皆目覚めた設定)の体に今更手術の拒絶反応が出始めた話。


1.何とは無しにホテルのロビーを訪れると、見慣れた姿が丸まっているのが見えた。身の内に溢れんばかりの希望を溜め込んだ少年はここ最近あらゆるところで丸まっているような気がする。ホテルのロビーなんかこなきゃ良かったなあ、と小さくひとりごちてから狛枝はゆっくり少年に向かって歩み始めた。――見付けたら構いたくなるに決まっているのに。

2.赤い瞳を擦りながら最近ずっと眠いんだよな、と欠伸混じりに呟く日向を見ながら狛枝はこれ見よがしに溜息をついた。「ちゃんと寝てるの?」「寝てる」「そういう割にはコテージいつも遅くまで明かりがついてるよね」「なんで知ってんだよ…」「見たからだけど」「簡潔な説明ありがとう」寝溜めが出来たらいいんだけどな、そういって困った顔で笑う日向に、猫って死に際には姿を隠すらしいね、ととんちんかんな返事を狛枝は返す。なんじそりゃ、また大きな欠伸を一つ零しながら眉を顰めた日向に、嫌な予感だけが渦巻いている。
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