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※蜂蜜トリオとルームシェア設定
四人は全員親戚関係で同い年、大学生



蜂蜜トリオ

「なまえー、起きてるー?」
『ん、ぐ…』
「なまえ起きろ」
『んん…』
「さっさと起きろよ、踏むぞ」
『んぎゃ!!!』

私の愛しい枕と布団の逢瀬は、190オーバーのヤンキー男によって阻まれてしまった。許すまじ。

「いやそれもう踏んでるから、キヨ」
『女の子を足蹴にしやがって…!許さん!』
「どこに女の子が居るんだよ?」
「清志バイオレンスー」

蜂蜜色の頭三つに見下ろされながら漸く布団から起き上がる。
宮地清志ことキヨの脛を腹いせに手刀で殴ってやったら、頭を蹴られた。信じらんない。

『キヨのバカ!頭はげろ!』
「ふーん…朝ごはんお前の好きなフレンチトースト作ってやったのにいらねーんだ?」
『すいませんでした!!!』
「わお、素早い土下座」
「プライドとかねーのかよ…」

感心顔の春日隆平ことリュウと、呆れ顔の福井健介ことケン。
この三人と私は親戚であり、三人がバスケ部で私も秀徳のバスケ部でマネージャーをやっていたのでそれなりに仲が良かった。
そして秋田に住んでいたケンが進学で上京してくるということで「四人でルームシェアすればいいじゃん!」という結論に至ったのである。私たちの親の間で勝手にな。
男三人の中にか弱い女を突っ込むなんて!と一人暮らしだと浮かれていた私は反論したが両親は「大丈夫大丈夫!あの三人があんたみたいなちんちくりんに手出すわけないから!ていうか寧ろあんたが手出さないか心配?」とほざきやがった。
『まあ、三人ともお顔が整っていらっしゃるし?そりゃ女の子にも困らないでしょうね!!!』逆ギレで返したのを覚えている。

「あと5秒以内に出て来なかったら飯抜きな」
『それ何て無理ゲー?!』
「今日遊びに行くっていってただろ?」
「頭爆発してるから早く直しなよぃ」

二人とも止める気ないのね!
あまりにも非情な仕打ちに私が歯向かえるわけもなく、大慌てで自室から出ると三人ともテーブルについて食べ始めていた。待つとかないんですか、ねえちょっと…。
仕方なくケンの隣、自分の席について手を合わせる。

『いただきます!』
「ちっ…、3秒かよ…」
『なんで舌打ちすんの、キヨ』

キヨ作のとろとろしたフレンチトーストを口にいれる。
上にかけられた蜂蜜の甘さと相まってめちゃくちゃ美味しい。

『んまーっ』
「で、今日どこ行くんだよ?言っとくけど俺、夜からバイトだぜ?」
「俺も明日朝早いしな、近場で」
「んー、なまえどこ行きたい?」
『え?』

話を聞いてなかった私はきょとんとした顔で振り返る。

「だからどこ行きたいって?」
『どこでもいいけど…決めてたんじゃないの?』
「………だめだ、こいつアホだった」
『なんで悪口言われてんの私は』

頭を抱えたキヨに「お前なあ…」と呆れた顔のケンに「なまえらしいわー」と笑っているリュウ。
さっぱり意味が分からん。
そして種明かしをしたのはリュウだった。

「今日誕生日でしょ?」
『…あ』
「完全に忘れてたな…。俺らの誕生日は忘れたことねーのに、お前頭どうなってんの?」
『え、だって…そっかあ…』
「…なに照れてんだよ」

なんだかんだ、大事にされてんだなあ…って思って。
そう声に出せば三人は目を丸くして私を見る。

「そりゃまあ、な」
「…とっに、今更かよ。轢くぞ」
「あー清志顔赤ー」
「リュウうぜえ!!」
『え、照れてんの?キヨ照れてんの?』
「お前もうぜえ!」

その言葉と一緒に手刀を頭にプレゼントされた。
痛かったけど、まあ手加減はされてるんだと思う。

ああ、やっぱり私この三人大好きだな。



 




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