哀傷ラメント
一晩考えても「そういうこと」の意味が出なかった。何がそういうことなのか。
というわけで、突撃してみようと思います。誰にって…そりゃもちろん、福井にだよ!
『つまりどういうことだってばよ!』
「いやお前がどういうことだってばよ!?」
ていうかお前馬鹿にしてんだろ、と福井はジト目で見てくるがいやいや彼はすごく有名でかっこいいと思いますよ。
福井の机に来た途端そう叫んだ私に福井はテンポよく突っ込んだ。絶対福井には大阪人の血が流れている。そうに違いない。
「は?ていうかお前なに、アホなの」
『なんで私悪口言われてんだ』
「………俺とどうなりたいのって」
『どうって…は?ちょっと待って意味分かんないだけど』
「だから、………お前俺と友達続けたいのかって」
それは一体、どういう意味だ。
『…友達、続けちゃ駄目なの…?』
自分の口から出た言葉は、存外震えていて少し驚いた。
「………分かった、俺ちょっと岡村に用事出来たわ」
『えっ!?今まで普通に喋ってたじゃんか!』
「うるせえテレパシーだバカヤロウ!!」
福井はダッシュで二つ向こうの岡村の教室へ走って行ってしまった。
…そんな設定どこにあったの、福井。
「………振られた」
唐突に訪ねた俺がそう切り出せば「は?! 」と岡村が大きな声を出して驚いていた。
「福井、おまえ遂に告白したんか…!?」
「してねーよ!!吹っ飛ばすぞアゴリラ!!」
「理不尽!!!…え、というか告白してないんか…?」
訳がわからない、と顔に出す岡村に昨日と先程の経緯を話す。
聞き終えた岡村はふむ、と一つ呟いてから。
「ドンマイ!」
「マジ吹っ飛ばすぞてめぇ…!!」
すげえイラッとした。語尾に星なんてつけてんじゃねーよ、モアラ。
「それは何と言うか…不運じゃったのう福井…」
「ほんとだよ…。あークソしかも、あいつ普通に喋りかけてきやがって…」
眼中にねえってか。くそ、福島のアホ。
「まあ、振られたもんはしょうがない。早く次を見つけるんじゃ!」
「………次とか、」
未練がましい思いかもしれない。だけど、考えられるわけわけないだろ。
今までずっとあいつだけだったんだ。
次なんて、いらねえよ。
ぽつりと呟いた俺の頭を岡村がぽんぽんとなでた。
なんか岡村に慰められたのが腹立ったので脛を蹴っといた。
弁慶の泣き所を押さえて蹲る岡村に少し気が晴れたので俺は教室へ戻った。