あの子を攻略する方法 | ナノ



  04


「高科さん」
『あ、伊藤くん…』

ローファーに履き替えたところで後ろから呼び止められた。

「昼休み、どうかした?いきなりどっか行ったから気になったんだけど」

私は『用事があったから…』と苦笑いで誤魔化した。
伊藤くんも深く追及はせず「そっか、」と納得してくれた。

「あのさ、高科さんって好きな人とか居るの?」
『え、っと…』
「実はさ、俺高尾に紹介されて高科さん知ったんだよね。いい子だし可愛いし彼女にどうかって」

嘘ついてごめんね、と彼は言うが問題はそこじゃない。
高尾くんに、紹介されたの?
つまりそれは、そういうことで。

「…なんで泣くの」

理解したら駄目だった。泣いちゃ駄目だと思ってもやっぱり駄目だった。

『っ、ごめ…なんでもない…!』
「なんでもなくないだろ。ごめん、俺嫌なこと言った?」
『違うの、なんでもないの…っ』

なんでもない訳がない。だけれどそれは伊藤くんが悪いわけでも高尾くんが悪い訳でもない。
ただ単に自分の気持ちの問題で。
伊藤くんは頭をかきながらあーと唸る。

「ごめん、泣いた女の子にどう接すればいいのか分かんないんだ。高尾呼んだ方がいい?」
『っ、いや!…やめて、お願い』

今、高尾くんの顔を見たら色々口走ってしまいそうだからそれだけは絶対に嫌だった。
伊藤くんは私が拒否したことに一瞬驚いたように見えたが最終的に分かった、と頷いてくれた。

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