04
俺の赤いカチューシャをつけた紗月ちゃんを想像するとどうにも顔のにやけが止まらない。
机のうえに突っ伏すと周りの奴らに「高尾どしたー?」なんて聞かれる。
「なーんもねーよ」
「ふーん」
好きな子が可愛すぎて辛いとか言ったら非リア充のこいつに殴られるかもしれない。
それはご免こうむりたいのだよ。なんて思っていると教室の扉が開き、目立つ緑頭が入ってきて俺の後ろに座る。
「おっはー真ちゃん!今日はなんで朝練こなかったの?」
「ラッキーアイテムを探していたのだよ」
「宮地さんが怒ってたぜ?」
俺がそう言うと真ちゃんはげ。というような嫌そうな顔をした。
「…おい、高尾。そんなことよりあの赤いカチューシャを貸すのだよ」
おは朝信者の真ちゃんは何を言うかと思ったらこの一言だった。
「あーラッキーアイテム?ごーめん、紗月ちゃんに貸しちゃった。つーかなかったの?」
「赤はなかったのだよ。というか今すぐ取り返してこい」
「真ちゃん鬼畜!」
あれ、つーか真ちゃんのラッキーアイテムがカチューシャなら紗月ちゃんのラッキーアイテムと違うんじゃね?
「なー真ちゃん、紗月ちゃんのラッキーアイテム覚えてる?」
「は?俺が知るわけないのだよ」
だよねえ、なんて思いながら生じた一つの矛盾について深く考えていた。
あれ、じゃあなんで紗月ちゃん俺のカチューシャ借りたんだろ。