あの子を攻略する方法 | ナノ



  01


「とりあえずメシどっかで食おーぜ。腹へった」
「雨も強くなってきたしな、どこかで雨宿りがてら良いのだよ」
「紗月ちゃん何か希望の店ある?」

私は思わずえっと声をあげてしまった。その声に高尾くんもえっとしたような顔をした。

『い、行っていいの?』
「俺は行くもんだとして考えてたんだけど…もしかして用事とかあっちゃった?」
『あ、ううん!大丈夫!じゃあお邪魔します』

ぺこりと頭を下げると高尾くんはいらっしゃーいとおどけた声で返してくれた。

「で、どっか良いとかある?」
『私はどこでも良いよー』
「近場が良いのだよ」

唯一希望をあげた真ちゃんの近場というリクエストを元にとりあえずその辺を探してみようという話になった。


「おっちゃーん、三人空いて…ん?」


二人が先にお店に入って何故か固まった。え、ちょっと見えないんだけど何が起こってるの。
中からはなんでここに!?とか聞こえてくる。あの、見えない…、二人の隙間から見えないかと試行錯誤していると真ちゃんが「店を変えるぞ」と言った。

『え、なんひゃああ!?』
「紗月!?」

いきなり雨と風が強くなった。外に体がはみ出ていた私の身体に容赦なく風が叩きつける。スカートが危ない…!

「うわちょっ紗月ちゃん店入って!」

高尾くんが私の腕を引っ張って店内へとやられる。

『び、びっくりしたあー…』
「わり、さっさとどけば良かったな…」

ごめん、そう謝る高尾くんに大丈夫だよと返す。しかし何が中で起こっていたのやら中に視線を戻すと「紗月っち!?」と叫ばれた。

『えっ涼くん!?』
「紗月っちー!会いたかったっスー!!」

きらきらした目で私にすっごい速さで手を振るのは中学のときに仲が良かった涼くんだ。その隣にはテツくんも居てテツくんは私に向かって少しだけ頭を下げた。

『テツくん!久しぶり!』
「お久しぶりです、高科さん。元気みたいで良かったです」
「俺は無視っスか!?」

ガーンと音が出そうな顔をした涼くんに嘘だよ久しぶり、と笑えばまた涼くんはあの笑顔を見せてくれた。変わらないなあ、そんなこと思いながら笑っていると後ろで「あれっ」と高尾くんの声がした。

「もしかして海常の笠松さん!?」
「なんで知ってんだ?」
「全国でも好PGとして有名人じゃないすか!ちょっ、うは!同じポジションとして話聞きてーなあ!」

高尾くんは涼くんの前に座ってる人のことを知っていたようでその人を座敷のほうにあげて真ちゃんを空いた席に座らせた。
私どこ座ろうかな…なんて考えていると誠凛さんの女の監督さんが私を手招きした。

「良かったらこっち来ないー?」
『えっ良いんですか?』
「良いわよね?」

監督さんが周りの人たちに問いかけるとおいでおいでと歓迎モードだったので有り難く座らせて貰う。
と、高尾くんが私を真ん丸とした目で私を見た。

「紗月ちゃんそっちで良いの?」
『うん。高尾くんはお話楽しんでね』

そっか、なんて高尾くんは言って結局私は監督さんの隣にお邪魔させて貰った。

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