あの子を攻略する方法 | ナノ



  03


『あ…』

次の日の朝、下駄箱へ行くと高尾くんが居た。
高尾くんは私をすぐ見つけて手を振り「紗月ちゃん」と笑っている。

高尾くんも迷惑してるんじゃない?

前までは嬉しいはずのその行為があの先輩の言葉が頭に響いて消えない。
お陰で高尾くんへの挨拶がぎこちなくなってしまった。しくった、なんて思ってももう遅い。高尾くんは私の反応を不思議に思ってこちらに寄ってくる。

「紗月ちゃん、どったの?具合悪い?」
『そんなことないよ、』

どうしよう、あの先輩に見られてたら。
それになにより、高尾くんに面倒だと思われてたら。
二重の恐怖が私を襲う。はやく、どこか。

『ごめん、私課題しなきゃいけないからもう行くね』
「そっか、頑張ってね」

うん、そう返事をして教室の方へ歩いた。
頑張ってなんて。もう終わってるよ課題なんて。罪悪感で胸がチリチリと痛んだ。


朝の紗月ちゃんの様子がおかしかった、
どことは明確に言えないけれど、どこか怖がられているような気がした。

「俺、なんかしたかなあ…」

数学より紗月ちゃんだ。
黒板の板書なんかそっちのけで昨日の行為を頭で反芻する、がそもそも昨日は紗月ちゃんに会っていない。
覚えている行為ならまだ良いが知らないうちに嫌われていたら居たたまれないけども。

「おい、五月蝿いのだよ。高尾」

俺があー、だとかうー、だとか唸っていたので真ちゃんに後ろから殴られた。

「ごめんって真ちゃん」
「…紗月がお前を嫌うなどあり得ないのだよ」
「………え、なに真ちゃん励ましてくれんの。やっさしー!」
「…前言撤回だ。お前なんて紗月に嫌われてしまえば良いのだよ」

ほんともうツンデレなんだからー。
その日は真ちゃんをいじっていたらなんとなく気が紛れた。

prev next




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -