あの子を攻略する方法 | ナノ



  02


「何か用?」

この前の高尾くんに向けての表情は何なんだ、と思うような変わり様だ。
扉を通せんぼするようにマネージャーさんが立っていてしかも段差があるものだから威圧感は二割増だ。こ、こわい…。

『あの、…高尾くん呼んでください』

こんなときに限ってあの先輩がご執着中の高尾くんだ。
ほらやっぱり。高尾くんの名前が出た途端先輩の顔が恐くなった。

「きみ、和成くんのなに?」

名前呼び。小さなことなのにちくりと痛んだ。
…嫌なら自分もすればいいのに、と思っても恥ずかしくてできない。私は意気地なしだ。

『なにって、…友達です』
「…ただの友達が部活中に呼ぶのはどうかと思うけど?あんまりベタベタするのは和成くんも迷惑なんじゃない?和成くんもそう言ってたし」

そう言われてさっきちくりと痛んだところをぐさりと抉られる。
なんだかこの前宮地先輩と一緒に居たときの高尾くんは怒っているように見えたし、もしかして休憩を邪魔したから怒ってたのかな。

「もし急な用なら私が伝えておくけど?」
『…お願いします』

もしそう思われていたようなら、…高尾くんの前には行きたくない。
にっこりと笑った先輩に用件だけ述べて、私は堅い顔で家への道を歩いた。


「高尾くん」
「…なんっすか」

最近中川さんに話しかけられる度に嫌そうな顔になっている自覚がある。
俺はボトルから口を離して一応応えておく。

「伝言だよ、クラスの子からみたい」
「…、どんな子か覚えてます?」
「さあ?私よく見えなくて、」
「…そっすか」

中川さんから言伝を預かる。用件は終わったはずなのに彼女は動かない。

「…俺部室行くんで」
「あ、私もタオルとってこなきゃ」
「…あーじゃあ俺とってきますよ」

ここまで露骨に態度に出しているのだから普通はめげるだろうに。
着いてきそうな先輩を強引に振り切って俺ははあ、とため息をついた。…も、めんどくせえ…。

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