あの子を攻略する方法 | ナノ



  01


夏休みもあと一週間で終わる、というときに電話が鳴った。
課題も終わっていた私はお風呂に入って、だらだらとベッドの上で過ごしていた。

『もしもし?』
「もっしもーし、高尾ちゃんでーす!」

語尾に星でもつくかのような明るいその声に思わずふふっと笑ってしまった。

「お、ウケた?」
『うん、思わず笑っちゃった』
「やりー!」

滑ったらどうしようかとなんて高尾くんは電話の向こうで笑った。

「あっそうそう!あのさーちょっと提案があんだけどさ、今週の日曜空いてない?」
『夏休み終わるまで寂しいことに予定なんてないんだよね…、どうしたの?』
「や、紗月ちゃんが良かったら二人でどっか行かないかなって。丁度部活休みになったからさ」
『………えぇっと、つまり』
「一緒に遊ばない?っていうお誘いでーす」

高尾くんの言ってる言葉は分かった。けれど意味を理解すると顔がどんどん真っ赤になる。
そ、それはなんだかデートのような…!いやでも高尾くんそんなこと考えてないだろうなあ…。
でも貴重な部活休みに私を選んでくれたことはすごく嬉しい。いいのかな、なんて思いながらも口は正直だった。

『い、いきたい!』
「ほんと?良かったー、じゃあ待ち合わせ場所とか決めたらメールするわ。目一杯楽しませてやるから覚悟しとけよ?」

じゃあな、なんて電話を切った高尾くんに私は心臓が破裂するかと思った。
なに最後の…!なにそれかっこよすぎるよ、高尾くん…!

『かっこいいなあ……』

電話を切った携帯をベッドの上に放って枕に顔を埋めて呟く。

ああもう、…また好きになる。


「…っし!」

電話を切った携帯をベッドに投げて思わずガッツポーズする。
そして床をゴロゴロと転がると隣の部屋に居る妹から「お兄ちゃんうるさいー!」と叫ばれた。
妹よ、兄はいま死んでもいいぐらい嬉しいんだ。
だからと言って死んだりはしないが。今週の日曜を迎えるまではな!!!

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