あの子を攻略する方法 | ナノ



  01


ちょっと昔の話をしようと思う。

具体的に言うのならば入学したてのときぐらいで、俺が紗月ちゃんを好きになったきっかけの話だ。少し長くなるかもしれない。



『あれっ真ちゃんに友達が出来てる!?』
「…紗月、五月蝿いのだよ」

昔ずったずたに負かされた相手が、次こそは新たな先輩や仲間たちと勝とうと思っていた相手がまさかその仲間の中に居るなんて何の因果だよ、ほんとマジで。
でもだからって敵視する気は特にはない。仲間なんだし。

と、思ってその昔ぼっろぼろに負かされた相手である緑間くんに挨拶をしているときだった。

真新しいセーラーに身を包んだ小柄な女の子が緑間くんに駆け寄った。

『わー良かったねー真ちゃん!』
「大体友達じゃないのだよ、こいつは」
「うっわひっでえ緑間くん!っていうかこっちの子は彼女?」

そう言うと緑間くんは「違う!」と語気を強めて否定し、女の子は『違うよー』なんて間延びした声で否定をした。

「幼馴染みなのだよ」
『真ちゃんの幼馴染みの高科紗月です、好きに呼んで良いよー!真ちゃんってちょっと変人だから大変だけどよろしくねー』
「ふはっ!オッケ、よろしく。俺は高尾和成ね」

まるで保護者のように自己紹介をしてきて、あーなんか保護者みてえと、それとあー女の子だめっちゃふわふわしてるわ、と思ってたのが第一印象だった。


「だからグリンピースぐらい食べるのだよ!」
『無理だよ…!この豆どもはオムライスに大概入ってもう…!』

そう言いながら紗月ちゃんはお弁当のオムライスからグリンピースを抜いて真ちゃんの弁当に入れている。
なんでも好物がオムライスで大嫌いなのがグリンピースらしい。
好きと嫌いは紙一重ってこういうことか。

ていうか第一印象と真逆だ。真ちゃんが親で紗月ちゃんが子供だ。

「紗月ちゃん、俺が食べよっか?」
『い、いやそれは忍びないので…!』

そう言いながら真ちゃんの弁当にグリンピースをひょいひょい入れていく。
真ちゃんが持つプラスチックのスプーンが今にも折れそうだ。

「紗月…いい加減にするのだよ…!」
『あっいたい!痛いよ真ちゃん!』
「まーまー真ちゃん落ち着けって」
「お前がその名で呼ぶんじゃないのだよ…!」

そんなこと言われたって結構気に入ってんので変える気なんてないっつの。
そうしてこんなことをお昼休みに話している日の放課後にそれは起きた。

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