02
いつもはさっさと帰る紗月ちゃんが真ちゃんを待ってたのは何でだろ。
なんてずーっと考えていたら、やっと分かった。
雷が鳴るたびに揺れる肩と抑えきれてない悲鳴。
…雷が、怖いわけね。
「…ちょっとコンビニ行こうぜ」
『えっ、あ…うん』
俺がそう言うと紗月ちゃんは戸惑いながらも俺についてきてくれた。
「雷、怖いんっしょ?」
『こわくない、よ?』
へらりと笑うけれどマジ全然隠せてねーから。
「はいはい、俺に強がりはいーから!」
俺は紗月ちゃんの耳にイヤホンをはめる。ウォークマンの電源を入れる。
「趣味合わなかったら勘弁な?」
『え、あの…』
紗月ちゃんの好きそーな曲をかけてそれから手を引いて俺の傘を開いて一緒に入る。
「これなら怖くねーっしょ?」
紗月ちゃんの方へ目を向けてそう伺うと紗月ちゃんは戸惑った顔を見せてごめんなさい、と俺に謝った。
「え、なんで謝まんの」
紗月ちゃんのイヤホンを片耳だけ外してそう問いかける。
『だって、…迷惑かけちゃったし…』
「こんなのは迷惑とか言わねーの!つかむしろありがとうのが俺は嬉しいんだけど?」
そう言うと紗月ちゃんは少しだけ目を大きくしてから俺に笑顔を見せてありがとうと笑った。
「やーっぱ紗月ちゃんは笑ったほうが可愛い」
『た、かおくん!』
「ほら耳してー?怖かったら手に爪たてて良いかんな?」
『し、しないよ!』
「はいはい強がっちゃってー」
紗月ちゃんの耳にイヤホンを突っ込んでから歩き出した。
紗月ちゃんは俺の手に爪を立てることはなかった。まあそれはそれで残念だったというか…イエ、なんでもないです。