あの子を攻略する方法 | ナノ



  ぼくにしあわせを。


『かーずくん』

ソファーで眠る和成くんの頬をつつくが、どうやら熟睡のようである。
さすがにこの状態の和成くんをベッドまで運ぶのは無理なので、しょうがなしに寝室から布団をもってきてかける。
そして好奇心が疼いて寝顔を携帯でぱしゃり。誰かが居たら変態なんて言われるかもしれないけど一人なんだからまあ良いじゃない。
大体和成くんのほうがひどい。寝顔やら料理しているところやらを隠し撮りされていたのを発見したときは全消しにしてやろうかと思ったがバックアップをとってあった和成くんの方が上手だった。

『…ふふ、』
「…なぁに笑ってんの、」
『あれ、起きた。投げられても起きなかったのに』
「んー…ほっぺ触ったので気づいて、シャッター音で目ぇ覚めた。撮ったろ」

和くんも撮ってるからおあいこでしょ、と言うとじゃあ俺もとっていいんだよね!!と言う和成くん。
待って数的な意味で言ったら明らかに和成くんは犯罪レベルで撮ってるからおあいことかは絶対ない!!
水ちょーだい、と体を起こして手を伸ばした和くんに机の上にあるコップを渡す

「あー…宮地さんは」
『ちょっと前に帰ったよ、送ってくれたんだから明日お礼しなきゃだめだよ』
「わーってるよ。…宮地さんなんか言ってた?」
『結婚しないのかーって』
「ぶふっ?!」
『えっ?!なにしてるの!』

いきなり水をふいた和成くんにティッシュを渡す。
どうしたというのだ一体。

「え、待って宮地さんほんとにそれ言ったの」
『言ったけど…なに、どうしたの?』
「えー…まじで!まじか宮地さん!」
『だからなに!』

頭を抱える和成くん。ほんと一体なんだっていうんだ。

「…紗月ちゃん、」
『うん?』

「俺と結婚するの、やだ?」と、 頭を膝にのせた和成くんが小さな声で呟くように言う。

『………したいの?』
「え、宮地さんに聞いたんじゃねーの」
『宮地先輩はお前ら二人で暮らしてんのに結婚しねーのかって。和成くんのことはなにも言ってないよ』
「………」

まさに墓穴掘った!!というような顔をしていたので写真に収めておいた。

「…紗月ちゃん、は結婚したい…?」
『なんでそんな不安げに聞くの』
「ばっ…不安になるでしょ!断られたら嫌いにはならねーけど1ヶ月は落ち込む自信しかねーよ!」
『長いよ!』

そうだなあ、と悩む素振りを見せてちらりと和成くんを伺う。わあ、捨てられた子犬みたいな顔だ。

『お酒の力借りて言ってるならやり直しを要求します』
「………それって、」
『もっとかっこよく言ってくれなきゃやだ』

残りの9割は、ただ単に和成くんから言って欲しいだけだ。

ほんとにわがままだけど、だってプロポーズって憧れでしょう。一生に一度のことなのだから。それも自分が一番好きな人から。

そんな不安になって言わないで、もっと自信もって言って。
ちゃんと好きだから。一生一緒に居ても良いってぐらい好きなんだから。

『だからもっとかっこよく言ってくれなきゃいやです』
「…もお、ほんと紗月だいすき」
『私も』

ぎゅっと抱きしめてきた和成くんの背中をぽんぽんと撫でるように叩いた。


後日、仕事から帰ってきて玄関の扉を開けた途端「これあげるから紗月の残りの人生俺にください!!」と指輪と一緒に十二本の赤いバラを渡された。
私はその場で泣いてしまって和成くんを「え?!やだ!?もしかしていや?!」と慌てさせてしまったけれど、どうにか『それは誰にも譲らないから私の人生貰ってね』と返事をして。
和成くんは「返品不可だからな!」と言って私を花束ごと抱きしめた。

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