あの子を攻略する方法 | ナノ



  01


「…ところでさ、」

紗月ちゃんと手を繋いで教室に戻り、二人して和やかな言ってしまえば幸せいっぱいのバカップル(実際そうだから良いけどね!)みたいな雰囲気を出しながら喋っていた。
晴れて紗月ちゃんとお付き合いできることになった俺は、冷静に考えてみると先程の紗月ちゃんの言葉で気になったことがあった。

「伊藤を俺が紹介したってなに?確かに紗月ちゃん紹介しろよとは言われたけど断ったんだけど…」

なんで好きな子に男紹介しなきゃいけねーんだ。ほんとに紹介していたらただの馬鹿だ。
そしてここまで拗れに拗れた原因の一つであることは間違いない。
紗月ちゃんは俺の言葉を聞いて『え…』と声をあげる。

『えっ、でも…伊藤くんが言ってたよ…?高尾くんが可愛い子が居るから紹介してくれた、みたいなこと…』

だから私友達にしか思われてないんだって思ったんだけど、と紗月ちゃんは言う。
二人して首を傾げる。………これは、伊藤に話を聞く必要あるんじゃね?


「あーバレた?」

呼び出した先のマジバで伊藤は困ったように笑って頬を掻いた。

「頼まれたんだよ。お前らかき乱してくれって」
「よし伊藤殴らせろ!俺の気が済むまで!」

机に乗り出して腕をぶん回す俺に紗月ちゃんが高尾くん落ち着いて!と宥める。
くそう可愛い可愛い紗月ちゃんの頼みであれば俺が断れるわけがない。ぐっと堪えて椅子に座る。

『えーっと伊藤くん、…その、誰に?』
「ゆかりさん、っつったら高科さん分かんねーか。バスケ部マネージャーの中川ゆかりっつったら分かる?」

そう言われて紗月ちゃんは合点がいったようで「二年生の?」と俺に聞くので首を縦に振る。

「つかなんでお前が中川さんと関わりあんだよ…」
「まあ順を追って喋るからちょい待ち」

そう言って伊藤はシェイクをずっと啜る。
呑気なものである。ちなみに俺は戦闘準備は完了している。机の下から足蹴ってやろうかな…。

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