ブラックベリー | ナノ



  02




「えっ…?えっちょっ、なにこれ!?」

混乱した俺は喜ぶべき「好きです」発言をなにこれ!?で片付けてしまった。
抱きついてきた彼女は未だ腕を緩める気配もなくあまつさえ俺の胸に顔を擦り寄せている。

「おい森山…?お前その子と知り合い…?」
「新入生と知り合いなわけないだろ!ていうかこんな可愛い子と知り合ってたら忘れるわけないだろ!」
「…ああ、俺の知ってる森山だ」

小堀が心底安心したようにため息をつく。

「小堀!どうにかしてあれ引っペがせ!」
「俺!?」

笠松が「部長権限だ!」と職権濫用しているが、とにかく女の子と関わりたくないと見た。
笠松は人生の9割ぐらいは損してると思う。
笠松に押し付けられた小堀は「えええー…」と言いながらも結局笠松より一歩前に出た。

「えーっと、君。森山と誰かを間違えてない、かな」
『そんなっ…、間違えるわけありません!』

彼女は真ん丸の大きな瞳を小堀と笠松に向けてそう主張した。
ていうか初っ端から間違えてるとか俺に失礼じゃない?ねえ、おい。

『私が好きなのは、この森山由孝先輩ですっ!間違えるはずがないです!』
「っ………ほんとに?」
『はい!』

やべえ、神が舞い降りた。17年間彼女がおらず運を貯め続けていた俺にやっと女神様がふり向いた。
こんなカワイイ彼女ありがとうございます!俺今なら死ねる気しかしない!死なないけど!
笠松も小堀も見たか、俺についに彼女が、

『あ、でも付き合う気はないんです…』
「はっ?」

できる予定だった。
彼女の放った一言に俺だけじゃなく笠松たちも目を見開いた。
『すごくすごくなりたいんですけどごめんなさい…』しゅんとする彼女はとても可愛いが言ってることはまったく可愛くない。

………えっ、つまり俺には彼女が結局出来ないんですか。
訳が分からないよ!

 




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