ブラックベリー | ナノ



  01




それは入学式の次の日の出来事だった。

「はあ…。新入生でカワイイマネージャー入らないかな…」
「…うぜえ」

俺が歩きながらそう呟くと笠松は眉を寄せながらそう吐き捨て、小堀は入るといいなと苦笑いでフォローした。

「今年はキセキの世代の黄瀬涼太もくるしなあ」
「………やめろ、その話題を出すな」

笠松は頭を抱えてそう唸った。
主将として先日顔を合わせた笠松は「マジで容赦なくモデルの顔殴ろうかと思った」と語った。
普段蹴るだの殴るだのまあ暴力的だがそれは間違った場面では絶対に使わない笠松がそう言ったのだから相当礼儀というものがなってないに違いなかった。

「これで黄瀬のファンなだけで使えねぇマネージャーがこられても困るんだよ…!」

事実黄瀬効果で昨日今日のバスケ部マネージャーの仮入部が前代未聞の数になっているらしい。

「大変だな笠松も」
「でも俺はマネージャーとドキドキハプニングが起きそうなことをしてみたい!」
「黄瀬のファンとそれやりたいのかよ。神経疑うぜ」
「俺の魅力でこっち向かせれば問題ない!」

どうどう?と俺が聞くと「ないだろ」「…ないだろうなあ」って、おい。

「ちょっとくらい夢見させろよー!」
「…今から気絶したら見れんじゃねえ?」
「その振り上げた足はなんだ?!」

笠松が振り上げた足の射程範囲からよけようと体を捻ったのがいけなかった。
「あっおい!」小堀が声をあげたときには遅くどんっと背中に衝撃。『ひゃ…っ』と高い声で小さく悲鳴。…お分かり頂けただろうか。女の子である。
180オーバーの男に体当たりを食らって倒れない女の子はそうそう居ない。例にそって彼女は床に尻餅をついた。

「う、わあああ!ごめん大丈夫!?」
『あ…、ごめんなさい!大丈夫で、す…』

彼女は頭を押さえながら立ち上がり、顔をあげた。そして目をまん丸くして俺を見つめる。
え、ていうかめっちゃカワイイぞ、この子。
なにこれラブチャンス!?

『見つけた……………』

テンションのあがっていた俺は彼女が何と言ったのか聞こえず、「え?」と聞き返した。
だけれどその返事は聞こえずなぜか腰に腕が巻きつかれた。

『好きです!!!』
「………は?!」

えっ、なにこれ。夢?

 




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