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森山先輩と遊んだ二日後。東京の秀徳高校との練習試合。
もしかしたら、と半信半疑の軽い気持ちで海常高校の体育館を覗きに行くと扉のところでばったり会ってしまった。

「あれー如月ちゃんじゃん!」
『あ、っやっぱり高尾くん?!』

中学時代から「俺は秀徳に行くんだー!」と豪語していたが、どうやら高尾くんのバスケにかける思いは並ではなかったらしい。

「うわ超久しぶり!てか如月ちゃん進学先海常だったんだ。なにこれ真ちゃん風に言うなら運命なのだよ?」
『そういう高尾くんこそ秀徳に進学できたんだね…』
「まあ俺だし?」

ぐっと親指をたてて笑う高尾くんに、『奇跡起きたね…、よくもまああんな成績で』と率直な感想を述べた。
中学時代の高尾くんの成績を思えば当然の感想だった。理系は異常なぐらい出来るくせに文系はてんでダメだった。

「なに、お前の彼女?」

高尾くんの後ろから声をかけたのは金髪の長身イケメンさんだ。
さして驚く風もなく後ろを振り返って「いやいや違います!」と何が面白いのか爆笑しながら否定をしていた。
どうやら視野の広い目と笑い上戸は健在らしい。

「ていうか俺、好きな子居るでしょ!宮地さん知ってるっしょ!」
「いや浮気として密告しようかと」
「それ今まで建ててきたフラグばっきばきに折られるからやめてくださいね!」
『その子可愛い可愛い?』
「超可愛い!!!!」

うわうざいわー、と満面の笑みで返した高尾くんにそう思った。
どうやら金髪イケメンさんもそう感じたらしく露骨に顔に出していた。

「ていうかそもそもこいつ中学から好きな奴居ますしね。どうせまだ好きなんっしょ」
『あっ、…練習試合の片付けとかあるとはおもうんですけどちょっと高尾くん借りていいですかね?!』
「お、おう」

私の勢いにおされてかミヤジさんが頷いたので、その瞬間高尾くんにヘッドロックさながらに腕を頭に回して体育館の外へ連れ出した。
「いたいいたいいたい!!!!」と叫ぶ高尾くんは無視である。


 




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