ブラックベリー | ナノ



  22




『そろそろ夏休みですね…、先輩何か予定があるんですか?』
「ないけど、………いや待て待て。普通にスルーしそうになったけど何でお前普通に三年の教室にいる訳?!」

バァン!と自分の机を叩いて勢いよく立ち上がる。
周りからは「森山うるさいぞー」「彼女可愛いじゃん、よかったね」とか言われてる。何一つ納得いかないんだけど!?

『森山先輩のお友達が入れてくれました!モブ山さーん!』
「本山だけどな?!やめてマジ気にしてるんだから」
「お前裏切りやがったなモブ!!!!」
「せめて山つけろ、森山ァァァアアア!!!!」

友人である本山に怒りの矛先を向けると、ブーメランでその怒りが帰ってきた。

『森山先輩!夏休み予定ありますか!!』
「…インターハイが詰まってる」
『応援いきますね!!』
「………」

俺の頭の中で二つの意見がせめぎ合う。
女の子が応援に来る。それは嬉しい。だが、だが…っ!!

「如月じゃなかったらな…!」

ダンッ、と握りこぶしを作って机に叩きつけた俺は如月に『さすがに泣きますよ、私』と言われた。
だがこいつのしゅん…とする時間はコンマ一秒なのだ。

『森山先輩!インターハイが優勝したあと時間あったら一緒にお出かけしましょ!ね!』
「………気が向いたらな」

こいつはちょっとはしゅんとしてりゃ良いのに…。
と、思っておざなりな返事をしていると唐突にゴンッと音が響いて、目を丸くして音源の方へ向けば如月が机に頭をぶつけていた。
………何してるんだこいつ。

『っ…うぐあああああ…!!森山先輩がデレたああああ!!!何で録音してないんですか私!!!』
「知るか!!!」

誰か医者かおまわりさんを連れてきてください…。
頭を抱えた俺の肩を本山がポンと叩いて首を横に振った。

 




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -