ブラックベリー | ナノ



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「あ、」
『あ、』

やばい部活遅刻する!笠松先輩に殴られる!
そう思って本来なら走ることはあんまり良くない廊下をダッシュで体育館の方まで走っていた。
そして、曲がり角を曲がったところで、偶然遭遇したのは(森山先輩にとって)嵐のような女の子である如月さん。

『えーっと、黄田くん!』
「黄瀬!!」

何度言ったって覚えてくれない如月さん。それ某似てる白パーカーだから!俺の住んでるとこ池袋じゃねーから!
しかもニアピンなことが殊更にわざとじゃないかと疑ってしまう。
如月さんは『あーそうそう』と堪えた様子はない。

『部活?』
「そうッスよ。如月さんは」
『部活見学…というか森山先輩見学?』

さっきの能天気な笑顔とは違い、えへへと花が咲くように笑った如月さん。
その笑顔は俺を好きな女の子とかが笑うときと一緒で。(一緒にされたくないかもだけど)

『でも黄瀬くんが来るならやめとこうかなあ…』
「ええっ?!なんで!俺の事嫌い?!」
『いやいや違くて!!黄瀬くんのファンが来るじゃない?人が只でさえ多くなるから邪魔しちゃいけないなーって…』
「そんなに好きならマネージャーとかやればいいのに…」

マネージャーなら堂々と選手に接せれる。海常では何故かマネージャーが居ないが。

『いやあそんな図々しい真似出来ないよ…!』
「如月さんは一回図々しいって辞書で調べた方が良いッスよ」
『え?』

彼女はなんで?みたいな顔をしていたが俺は森山先輩に堂々と更には無許可で抱きついたのを忘れてない。

『それに私は見れるだけで満足なの』
「…ふーん、そういうもんッスか」
『そういうもんだねえ』

手に入れたいとか、自分だけのものにしたいとか彼女にそういう独占欲というものはないらしい。

『…ところで黄瀬くん、』
「はい?」
『後ろ、』

陽菜さんは口元をおさえ俺の後ろを指す。
へ?と間抜けな声を出しながら俺が振り向く、とそこには禍々しい空気を出す笠松先輩が腕を組んでたっていた。
顔は鬼あるいは般若、そして立つ姿は仁王像にしか見えない俺は一瞬にして震え上がる。

「黄瀬ェ…!お前無断で遅刻したあげくお喋りとはいい度胸じゃねぇか…!!」
「スンマセン!!!!」
「外周10周!さっさと行って来い!」

笠松先輩に怒鳴られ部室への道をダッシュした。怖ぇえ…!!

 




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