06
「あの、入学式で見た時から好きで、俺と付き合って欲しいんだけど…」
昼休み廊下で呼び止められた。一緒に居た子に少し待って貰い、話を聞いたけど予想通り告白だった。
『…ごめんなさい、私好きな人居るんで』
「そ、うなんだ…」
『うん。気持ちは嬉しいけど、ごめんなさい』
それじゃ、と私は告白してきた男子を置いて待たせていた子に詫びる。
『ごめん!お待たせ』
「いいよー、それより良かったの?あの人サッカー部で人気の山岸くんだったのに」
『…里緒ちゃんはイケメンを網羅し過ぎでは』
「目の保養って大事だよ?まあ私の本命は黄瀬くんだけどね!」
昨日偶然見かけて凄くかっこよかったんだ!と頬を赤く染めてうっとりする里緒ちゃん。おお、まさに恋する乙女だ…。
『でも里緒ちゃんは体育館まで行ったりしないよねー』
「だって迷惑になるでしょ?それにたまに校舎で会うというドキドキ感を味わいたいの!」
だからたまに会えたときの感動は計り知れない、らしい。
私も自分が変わってるとは思うけど、里緒ちゃんも結構変わってると思う。
これが所謂類は友を呼ぶってやつだ。
「ていうか私のことより陽菜ちゃんだよ!これで告白されたの何回目?」
『えーっと…』
「七回だよ!七回!」
なんで本人より覚えてるんだろう、私が突っ込む間もなく里緒ちゃんはマシンガンのように喋り続ける。
「もったいないよ!陽菜ちゃん可愛いのに」
『そんなことないよ、それに好きな人居るし…』
「あー…あの森山先輩ね」
里緒ちゃんのイケメンセンサーには引っかかったのだろう。(なにせ森山先輩は顔は整っている)
ただし里緒ちゃんは物凄く難しそうな顔をした。
彼女曰く、
「…うん、すごく残念、だよね」
らしい。
多分女好きなところだろうなー、なんて思った。
『でも私そんなとこも好きなの。…病気かなあ』
「陽菜ちゃん一途…!森山先輩なんてガンガン落としちゃえ!」
ガッツだよ陽菜ちゃん!と里緒ちゃんかガッツポーズをするのでとりあえず私もガッツポーズをしておいた。