放課後の廊下を歩いているとかつんと、シューズに何かがぶつかった。
下を見れば足元に袋に包まれた飴が落ちていた。
俺一応風紀委員だしなあ…、と思いながらしゃがんでそれを拾う。
これは木吉にでもあげよう。黒飴じゃないけど。
と、思いながら顔を上げれば少し離れたところにりんご味の飴が転がっていた。
なんだこれと思いながらそれも拾う。
まさかな…、と思って顔を上げれば今度はレモン味の黄色い包が先に見えた。
「これ、なんてヘンゼルとグレーテル…?」
木吉にあげるのはやめにしてとりあえず回収して返品だな、と俺は小さくため息をついて飴を辿って拾い始めた。
最後の一つは一年B組の教室の前に落ちていた。
確か黒子と火神のクラスだっけか…、なんて思いながら扉に手をかける。
ちなみに片手には飴の山である。
「…失礼しまーす」
自クラス以外、それも他学年の教室だ。
なんだか妙な緊張を抱えて扉を開く。
『すー…すー…』
なんと居たのは人喰い魔女やお菓子の家でもなく、机に突っ伏して熟睡している女の子が一人居た。
「えええ…?何してんの、この子…」
寄っていけばどうやらヘンゼルとグレーテルごっこの犯人はこの子だったらしい。
机の横にかかっている鞄の真下に飴が何個か転がっていた。
穴が空いているみたいでそこから転げていたらしい。
「おーい、起きてー」
控えめに揺らしてみたもののまったく起きる気配ナシだ。
困ったな…部活あるんだけど…。