短編 | ナノ

昼休みランデブー



「おーい星野ー、お前今日日直だろーこれもってけー」

これって、これですか。
四限目が終わり、やっとお昼ご飯だーなんて思っていたら日本史の先生に呼ばれた。
私は思わず聞き返そうとしたがこれと言って指した先には山のように積まれた冊子しかなかった。

「社会科資料室な、よろしく」
『ちょっ先生少しは持つとかないんですか!?』

私の叫びはまるっきり無視されて、無残にも扉は閉められた。
くそう…。私は悪態をつきつつも冊子を持った。おっも!重い!!

クラスメートに大丈夫かー?と声をかけられつつも私はよろよろと教室から出た。
みんな声をかけるぐらいならちょっとは手伝うとかないのですか。


「あれ、夢じゃん。重そーなの持ってんね」

丁度彼の教室の前を通ったときだった。窓から顔だけ覗かしたのは彼氏である菅原くんだった。

『す、がわらくん』
「ちょい待ってて」

そう言って彼は顔を教室の方へ戻してすぐ教室の扉から出てきた。

「はい貸して貸してー」

そう言ってひょいっと私の持っていた冊子を奪い取る。
私の手に残ったのは二、三冊程度の冊子。

『す、菅原くん!私もうちょっと持てるよ!』
「えーだめー。でも一緒に居たいからちょっとだけ持って」

ほら行くよー、とにこにこ笑う菅原くんはもう歩き出していて私は急いでその背中を追った。


『もうちょっと持てるよう…』

並んで歩きながら私は文句を言う。

「もーしつこい。こういうのは彼氏が持つべきだろ」
『か、彼女だって頑張れるよ!』

どもらなかったら上出来なんだけどなあ、とからかうように言われる。

『う、だ、だって!』
「はいはい。ほらついたよ、ここでしょ?社会科資料室」

ほら入って、菅原くんに促されて私は真ん中に置いてあったテーブルに冊子を置く。
菅原くんが隣に置いた冊子の山の差を見て申し訳なくなる。
それに気づいた菅原くんがもー、と眉を下げながら笑って私の頭を撫でる。

「そんな顔すんなよー」
『だって…』
「俺は夢が好きだからやってんの!だから謝られても切ないからどうせ言われるんだったらありがとうが良い」
『………菅原くん大好き!』

私がそう言いながら菅原くんに抱きつくと菅原くんは少し驚いたみたいだったけど「大好きが一番嬉しいわ」とへにゃりと笑った。


菅原孝支/HQ!!






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