短編 | ナノ

lovin' you!



教室居るから終わったらこい。

宮地先輩からそんなメールが入っていた。
私は図書委員で、今日は図書当番の日だった。

そっか…先輩もう引退しちゃったもんなあ…。
今まで私が待つ側で、その時間も結構嫌いではなかったので少しもの悲しいような、そんな気分だ。

了解です、そう返信して返却された本を棚に納めはじめた。


『失礼しまーす…』

三年生の教室なんて、入るのにやっぱり緊張しちゃうわけでゆっくりと扉を開けて控えめに声を出す

すると、教室に宮地先輩は居たものの、机に頭を預けて肩を上下させていた。
んん?もしかすると、と思い耳を澄ませるとすーすーと微かな寝息も聞こえる。

宮地先輩の方へ寄るとやっぱり寝ていた。
普段から童顔(言ったら間違いなく仕返しされるので口には出さないけども)のくせに更に童顔だ
レアだし写真とっとこ、と思い立ちポケットから携帯を取り出してパシャリ。

『ふへへ…』

保存保存!ついでにSDにも保存しておこう。

「ん、…」
『…』

先輩が起きるかなと思って身構えているとどうやら寝言だったようでまたすうすうと寝息をたて始めた。
お、おきてない…?
そう分かると当然悪戯心がむくむくとわきあがってくる。
私は自分の体を乗り出して宮地先輩の頬に自分の唇を押し当てた。
そして達成感に浸りながらゆるりと離れる。宮地先輩が起きてたらぜっったいにしな「なにやってんの、お前」…え。

やったよ私…!なんて何に勝ったのかも分からない勝利に浸っていたのになんだか審判のミスされた気分だ。

『え、なんでおきて…!?』
「ずっと起きてたけど?よくも人の寝顔撮ってくれたな、あ?」
『先輩悪趣味!!!』

そっからですか!と思わず突っ込まずにはいられない。

「なにしてくっかなと思ってたんだけど頬チューね。ばっちりチュー顔の写真撮ったわ」
『はい?!消してください!いますぐ!』
「やだ」

保存決定、と言いながらどこからか取り出した携帯を手にして操作している。え、ていうかいつ撮ったの。シャッター音しなかったのに。

「あー…、ばれないように撮った」
『宮地先輩の変態…!』

やだもうこの人変態じゃないか、ただの。
私が顔を押さえてそう言うと宮地先輩はふーん…と呟いて。あれ、この声は嫌な予感しかしない。

「じゃ、お前も変態だよなあ?俺の顔撮ったわけだし?」
『っ…!?』
「ばーか」

そう言いながらふっと笑った宮地先輩に思わずきゅんとしてしまった。

lovin' you!

◎宮地清志/krk
−−−−−−
本来はlovin' youは正しい文法じゃないらしいのですが(そのへんはぐー/ぐるさんとかに(笑))
中学時代の英語の先生の教え子がI'm lovin' it!をそれに夢中ですと訳したらしいです
そのお話がすごく気に入っていていつか使いたいなと思っていたのでやっと使えて嬉しいです(笑)






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