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「やっぱり、不味いかな…」
その言葉に、止まっていた手をまた動かし始めた。変な音をさせながらも、もぐもぐと全てを食べ切りキャプテンとほぼ同時に立ち上がる。ジュースを買いに行くと言った背には続かず、寸同に手を伸ばした。
(絶対、食い切る)
俺がそれから三杯目を食べ切るくらいで火神君と共に作り直しが決定し、深く息を吐き出す
「飯は俺が主に…作りま、す」
「紺野ー!死ぬなー!」
「少し眠らせて下さい、うっ…」
「幸君…!」
ぐったりとそのまま机へ俯せになる。美味い不味い以前に食べ過ぎて腹が苦しい。後片付けが終わり、リコ姉との帰り道。不安気に大丈夫か聞かれて苦笑いを漏らした。やっぱり駄目ね、そう落ち込む姿に足を止める。
幸、どうしたの?そう不思議そうな顔をして彼女は俺を仰ぎ見た
「…どんな料理でも、それがリコ姉が作ったモノなら俺は食うよ」
「幸?」
「苦手なら練習すればいい、俺がそれをずっと食い続けるから」
「全く、アンタはそんな事ばっかり…」
リコ姉はバスケに忙しいし、鈍感な事もわかってるから気にしない。でも正直な俺の気持ちだけは、覚えていてくれたら嬉しいのにな。
(いつかちゃんと、誠凛を選んだ理由も話すよ)
帰ろう、リコ姉!そう言って手を掴み歩き出す。今はまだ弟みたいな振りをして隣に居るから
「いいか、ウチの娘に手を出したら…」
そうして迎えた合宿初日、何処から出したのかわからない景虎さんの拳銃には苦笑い。どうやらまだまだ乗り越えなきゃいけない問題が山積みのようだ
ただ傍にいたいけど、問題は山積み?
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