曖昧 | ナノ


改めて紺野幸です、そんな簡単な自己紹介と共に頭を下げた。リコ姉の幼馴染で、まあ色々あってアメリカに留学してました。そう続ければ、心配していたんですよなんて拗ねた様な表情をしたテツヤに、素直に謝る。
(大輝達とも、ちゃんと話をしたいな…)
赤司から定期的に全員の話は聞いていたから、皆が変わってしまった事も知っていた。だからこそ帰ってきた、他の誰でも無いテツヤの力になりたかったから


「テツヤと同じクラスで本当に良かった!」
「ええ、ボクもです。と、言ってもあと少しで夏休みですね」
「まあ中途半端な時期で転校してきたし」
「君らしいですよ、とても」


どういう意味だよ、そう思いながら俺をじーっと見てくる火神君にどうした?そう問いかける。
そわそわ、うずうず。そんな態度をとってから自主練の時に1on1してくれねーか、なんてお願いに思わず想い出したのは親友の笑顔。断る理由はない、この為に俺はこの学校を選んだんだ


「火神君、言っておきますが幸君は青峰君とダブルエースと呼ばれていました」
「ダブルエース?」
「つまり実力は彼と拮抗していると言っても」
「それは過言だよ、テツヤ」


俺はそんな存在じゃなかった、だからこそこの現状があるんだ。少し黙った俺を不思議そうに見てきたテツヤに何でもないよ、そう笑い掛けながら頭を撫でる。
そんな中で聞こえた声に、席を立つ。廊下へ顔を出せばやっぱりいた姿に、教室を飛び出して駆け寄った


「リコ姉!」
「あ、幸。アンタ山と海、どっちが好き?」
「うーん、リコ姉が居ればどっちでも」
「…私はアンタのそういう所が嫌い」
「え?!」


素直に伝えただけなのに、そう思いつつ合宿の行き先ですかとキャプテンに尋ねれば何故か少し嬉しそうに笑いながらそうなんだよ、と肩を叩かれる。
結局は夏休みの最初に海へ行き、最後に山へ行く事になったようで小金井先輩達は項垂れていた。
(合宿楽しいのになー…)


「幸、ちょっと来て」
「んー?」
「合宿の練習メニューなんだけど、これでどうかしら」
「…なるほど、項垂れるわけだ」
「へ?」


これは地獄の合宿になりそうだ、と思いながら武田先生に呼ばれたリコ姉の背に手を振る。そうして再度かけられた集合、キャプテンの口から明かされた更なる地獄に血の気が引いた


「カントクが、飯を作る…!」


死活問題につき、迅速に改善を

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