「僕が他の誰かに告白をされていてどう思った」


その問いに、答えることは出来なかった。返事をして、それが征の望まない答えだったとしたら?考えただけで頭が痛くなる。どうしてこんな事を聞くんだ、そう思いつつも口には出せずに飲み込む。オレを気に入っている理由は能力の高さ、らしい。それ以上に何かあるのかないのか、それはあまり深く突っ込むべきじゃないかと考えたりもしているわけで。
(部活以外で頭使うのやだなー)
眉尻を下げ、征が望む答えは持ってないや。そう言ったら七瀬センパイ!と何とも可愛らしい声がして征越しに見えたのはいつか相手にしたようなそうでもないような女子生徒


「何」
「七瀬センパイの姿が見えたから声かけたんです、最近連絡しても全然」
「オレ今、征と話してるんだけど。アンタと話す意味ない」
「え‥!」


オレにとって征が最優先事項だ、それは玲央であろうと小太郎であろうと覆る事は無い。目を見開いた後輩女子を表情も変えずそのまま見下ろしていれば段々と悲しそうに歪んでいく顔。別に気にしない、どうだっていい。征、行こう。細い手を掴んで歩き出す。
(あ、だけどその前に‥)
チラッとだけ振り向いて、次に邪魔したら許さないよ。それだけを伝えまた足を前へと動かす。あの子からの返事なんかいらない、聞く必要性が無いから。視線を黙ったままの征へと落とせばまだ話は終わっていない、そう言いたげな目をしているから近くの空き教室へ取り敢えず入った


「さっきも言ったけど、オレは征が望む答えは」
「じゃあ聞こう、僕が七瀬に望む答えはなんだい?」
「‥別に何とも思ってない、じゃないのか」
「不正解だね」


七瀬はこの手の話はいつも鈍い、その言葉を理解する前に尻餅。いてて、何すんの。そう言いながら顔を上げたら、自分の近くに迫る存在に慌てた。何する気だ、征。言葉にはならない動揺が、彼の唇一つで封じられてしまう。
こういう事だよ、にやりと笑う彼に頭を抱える。バカヤロウ、低レベル過ぎる反抗に満足そうな表情を浮かべる彼には溜息も出なかった。つまり、お前はオレが好きってことでいいのか?がしがしと頭を掻きながら放ったヤケクソな言い方にも、嬉しそうに征は頷いた。ああ、これからどうすりゃいいの


「まず七瀬は、僕への気持ちを自覚しようか」


そんなモノ、ずっと前からなんて伝えていいのかわからなくて