「オレ、征のバスケは嫌いだ」


だけど、お前に負けてほしく無いから出来る限りの協力はするよ。そんな言葉に思わず表情は曇った。
全てに勝つ僕は、全て正しい。それを彼はあっさりと否定するのだ。これを他の誰かが言っていたとする、そうしたら僕は間違いなくその相手を迷う事なく屈伏させてやる。でも、彼だけは何故かそうは出来なかった


「征、次の練習試合だけどさ」
「ああ、もう監督と話は済んでいるよ」
「だろうと思ってこれ、データな」
「!仕事が早くて助かる」


仕事の早さ、正確さ、何一つ文句は無い。洛山に来て良かったと思ったのは、彼の存在が大きいだろう。全ては征の理想通りに、それが口癖。聞いていて悪い気はしない、むしろその言葉は僕にとってプラスだ。
(まあ、それが当然なのだと信じて疑っていないのかもしれないね)


「七瀬、このデータについて少し僕の意見を言うよ」
「はいはい、覚えてばっちり作り直すから任せて」
「すまないね」
「征の理想通りに、がオレのモットーだから」


ほらまたそうやってすぐに僕を甘やかす。困った先輩だ、そう呟いた僕を不思議そうに見てくる視線に気付かない振りをして七瀬が作ったデータへと視線を落とした。
近付く夏の気配、淡々と目指すは頂点だけ。噎せ返るような熱気に包まれた体育館で、新しい戦いが幕を開ける


彼は僕にとって理想の、?



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テーマ「人外ファンタジー」
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