「え、くれるの?」
「はい!」
「ありがとな、嬉しい」


こんなやり取りは、日常茶飯事になった。中学時代にもチラホラと見ていたけど、あの時は赤司君が凄かったから幸君への好意はもはや御法度みたいな感じで。だけど此処は桐皇学園だ、赤司君はいない。
アメリカの留学から帰って来た幸ちゃんは、バスケ部に迷わず入部してくれた。大ちゃんはそれにすっごく喜んでいたし、私も嬉しかったんだけど


「ちょっと幸ちゃん!モテすぎ!」
「へ?」
「大ちゃんが一番人気かと思ってたけど、幸ちゃん愛想もいいしね‥そりゃ大ちゃんなんかより幸ちゃんな気持ちは痛いほどわか」
「聞こえてんだよ、さつき!」


軽くだけど頭を叩かれ、痛い!そう喚く私と大ちゃんの口喧嘩はいつも変わらない。幸ちゃんは、あっちゃんがいればわけてやるのにーうまー。とか言いながら大量の差し入れを大量に平らげていた。
幸ちゃんは、勉強も結構出来ちゃうしスポーツだって言わずとも出来る。見た目だってピアスはしていても、不良みたいな雰囲気じゃないし、物腰柔らかで紳士的だし


「幸ちゃん、もう少し他人に厳しくなろう」
「何で?」
「さつき、そいつは計算でやってんだよ、無駄だ」
「え」
「ん?」


計算って、なに!思わず声を荒げてしまう私に向かって、幸ちゃんは笑いながら女子に優しくする意味なんて食料確保くらいだし。って言うから驚いた。あ、さつきとリコ姉とね、あとアレックスは別。その言葉に、胸を撫で下ろしてもいいの?
大ちゃんが文句を言わないのはわかってるからなのか、妙に納得しながら中学時代を思い返す。確かに、幸ちゃんって女子に冷たかったかも‥


「そんなことよりさつき、誠凛と練習試合組めた?」
「あ、うん後はカントクのリコさんと日程を」
「よっしゃ、リコ姉に電話しよ〜」
「ええっ、今?!」


バスケ馬鹿、そう思いながらいつにする?今から?とか言ってる幸ちゃんに苦笑い。きっと電話越しでリコさんに怒られたに違いない、しょんぼりしながらいつならいいんだよ‥って呟く姿が可愛くて笑ってしまった。
今週の土曜日!練習試合!わーい!飛び跳ねて喜ぶ幸ちゃんを見る大ちゃんの眼差しの優しさに、心があったかくなる


「絶対に勝つぞ、大輝!」
「幸がいて負ける訳ねえだろーが」


私も、早速データ更新しなくっちゃ!


当たり前の日常に、幸せを


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