04
「付き合ってはいない」


思わず隠れてしまった。確かあの子は先日、私にビンタをしてくれた女の子。じゃあ、彼女の場所を私に下さい。その言葉にどくり、心臓が嫌な音を立てた。私の代わりなんて誰だって出来る、赤司の言われた通りに動ければそれでいい。
赤司の返事は気になったけれど、これ以上は聞かないでおこう。もうバスケ部に行かなくて済むんじゃないか、そう思いながらただその場をふらりと立ち去った。
(快適なスクールライフが戻ってくる、それだけ)


「睦ーっち!」
「去れ」
「酷いっス、迎えに来たのに!」
「私はもうバスケ部には関係無い、帰る」


ぽかん、とした顔をした黄瀬に手を振り背を向ける。先日入部したと思ったらあっという間に一軍に来て、そして何故か懐かれた。まあそれももう関係の無い話だ。
こんな時間に帰るのはいつ振りだろう、そんな事を考えながら歩き出す。もやもやしている感情は、きっと気のせい。
(わかってる、ちゃんと、理解してる)
不釣合い、似合わない、立場が違う。同じ帝光に通う学生なのに、まるで彼と私は光と影だ


「いいから来い!オレ達が死んじまうだろ!」
「青峰、アンタだけは死なない、大丈夫だ」
「どういう意味だよ!」
「ボクからもお願いします、このままでは赤司君の苛々は募る一方なんです」


事件は一週間後、青峰と黒子くんに引き留められ起きた。あの日からちょうど始まったドラマの再放送は、今日が中々の盛り上がりを見せるはずだ。しかしそんな事よりも可愛い黒子くんの顔色が本気で悪い所を見るに、赤司は相当機嫌が悪いらしい。
新しい専属マネは仕事が出来ないの?その質問に首を傾げた二人に、私も意味がわからず首を傾げた


「赤司君のマネージャーは、睦さん以外に知りませんが」


あれれ、何かがおかしいぞ


知らないことばかり




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