02
何処に行くつもりだ、体育館は逆方向だが。その言葉にぴしり、と身体は固まる。ゆっくり振り向いた先にいたのはあの時の赤、と今度は馬鹿でかい紫。
(トトロよりデカそうだな、おい、知らないけど)
ドラマの再放送があるの、事件は自宅のリビングで起こるの。そう女の子ぶった言い方をして逃がしてもらおうとしたけれど、通じず。気持ち悪いな、と爽やかな笑顔で一刀両断され連行


「何してんだよ、睦」
「見てわからないか青峰、私は今真剣に悩んでんだよ」
「オレにはどう見てもお前がこの場から逃げようとしている風にしか見えねえ」
「正解!まだ今ならドラマの再放送に走れば間に合う!」
「お前はその運動神経をもっと有効に使え」


ばしん、頭を叩かれ諦めろと言わんばかりにボールを投げて寄越される。折角ジャージ着てんだから付き合えよ、そう笑った姿に溜息。仕方ないかと軽く準備運動をして向かい合う。
結果は負けに決まっていた、だけど身体を動かすのは楽しくてつい熱中してしまった。それが間違いだった事に気付いたのは、青峰と二人で正座をさせられた今である


「随分と仲が良いな」
「?青峰とは小学校から知り合いだったし」
「へえ‥」
「てかマネージャーやれって言ったけど、アンタ何も言わないから」


私に少しくらい教育係的な人材を割いてよ、桃井ちゃん希望。そう伝えたら頬を抓られ一言。
お前は、オレのマネージャーだ。
顔面蒼白。今この瞬間、私は確実に絶望した。ふざけんなー!そう叫んだ私の言葉は、近くで行われていた紅白戦の終了を知らせるブザー音に掻き消される。項垂れた私に、諦めろと肩を叩いた青峰の手が辛かった


冗談じゃない、横暴だ!




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