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▽ 狙われてますよ、チョロ松さん!


 

 白い光に中てられた、グラスは7つ。テーブルがあるのか無いのかも分からない暗がりに置かれている。
 透明なそのグラスの中の一つだけに、同じく透明な実が入っていた。まるで林檎のようなハートを描いた断面の実。飲み込めば喉をすんなりと通り抜ける大きさだった。
 そこに真っ赤な液体が注ぎ込まれる。暗がりではその色も定かではないが、さながら血液と寸分変わりはないようにも見えた。透明だった実は液体に溺れて姿を消す。一体どのグラスに入っていたことやら。
 こくりと喉を鳴らしたのは誰だったか。

「じゃあ俺はコレ」
「えーずるいよ、僕もそれが良かったのに」
「これもっらい〜」
「俺はこれを「触るな。ソレは僕の」……え」
「しょうがないから残りでいいよ」

 ひと通り揉めたあと、一人ずつグラスを掲げていた。揉めたという言葉には似つかわしくないほど静かに、厳格に、大切に6つのグラスは各々の指に摘ままれた。
 後に残ったのは一つのグラス。ふと誰かがそのグラスを床に投げ落とし、派手な音を立てて壊した。女性の悲鳴にも似た声。何かが泣いているようにも聞こえた。
 それも無視して声がかけられる。


「幸多き人生を」

 グラスに口をつけ、誰もが一斉に飲み干した。


 ごくり。







 狙われてますよ、チョロ松さん!


 


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