。。。空色キャンディ。。。




現在の時刻、昼の1時55分





「あと5分か・・・」香穂子は自分の部屋の時計を見ながら呟く。





今日は1月1日。お正月だ。

香穂子は加地と一緒に初詣に行く約束をしていた。









(葵くん、そろそろくるかな?)

そう思い、玄関に行きドアを開けた。

するとそこにはすでに加地が立っていた。



「葵くん、もう来てたの?」と慌てて外に出た香穂子は加地に聞く。

「うん。待ちきれなくってさ」と加地は言って微笑む。

「ごめんね。待たせちゃったよね。私がもっと早く外に出てれば良かったんだけど・・・」香穂子は頭を下げる。

「謝らないで。僕が勝手に来たんだから。今日がすごく楽しみだったから早く家を出ちゃって」加地は香穂子を止めつつ言う。

「・・・葵くんは優しいね。いつもそうやって私を許してくれるから・・・つい、甘えちゃうよ」

「そんなことないよ。まぁ香穂さんが僕に甘えてくれるなら、いくらでも優しくしたくなっちゃうけどね」なんて加地はいつも通り、

聞いている方が恥ずかしくなるセリフをさらっと言ってのける。

「もう!恥ずかしいよっ」香穂子の頬はほんのりと赤い。

まぁ香穂子がそんなことを言ったところで、加地はふふふと笑うだけなのだけれど。



「じゃあ、行こうか」と加地が言う。

「うん」と香穂子は気をとりなおす様にうなずきながら言った。



どちらからともなく手を繋いで2人は歩き出す。





目的地は最寄り駅から3駅先にある神社。初詣の時期にはけっこうな人が集まる有名なところだ。



「あっ、そういえばまだ言ってなかった!あけましておめでとう」と香穂子は思い出して言う。

「あぁ、そうだね。あけましておめでとう。今年もよろしくね」と加地も返す。

「こちらこそよろしく」と言って香穂子は微笑む。

「・・・なんかいいね、こういうの。1年の初めってなんとなくワクワクするし」と加地もつられて笑う。

「あっ、わかる。今年はどんなことがあるかなーとか考えると、楽しみになるよね」

「そうそう。いいよね」





こうして他愛もない会話をしているうちに、駅に着いた。

到着した電車に乗り込む。

電車の中はけっこう混んでいる。ほとんどの人が初詣にいくのだろう。

香穂子が立った位置はたまたま掴まるところがなかったので、電車が走り出してすぐによろけてしまう。

すると、加地が後ろから香穂子を支え、「大丈夫?香穂さん。僕に寄りかかっていいよ」と言う。

「う、うん」と香穂子は言いながら、内心ドキドキしていた。

ぴったりとくっついた背中から、加地の体温が伝わってくるからだ。

(って、私、何考えてるんだろう!)

香穂子は自分の考えを振り切る。

それを知ってか知らずか加地は、「こうやってくっついてると、温かいね」と香穂子にしか聞こえないように、耳元で囁く。

香穂子の顔は赤くなる。何か言おうかとも思ったが、後ろにいるし、顔を見られれば余計に恥ずかしいので、黙って背中を加地に預けた。





10分程電車に乗り、駅に着いた。

ここから5分程度歩いた所に、目的の神社がある。





2に続く
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