。。。空色キャンディ。。。



夕方。寮の前で私は立ち止まる。

(響也、もう帰って来てるかな・・・)

ニアの言葉が蘇り、顔が熱くなる。

(別に、ただ話をすればいいんだ。うん、そうだよね)

そう自分に言い聞かせる。





部屋に行って着替えを済ませてから、響也を探す。

食堂やラウンジをみたが姿はなかった。

そして庭へ行ってみると、彼はそこにいた。

なにをするわけでもなく長椅子に座っている。私が来たことにも気づいていない。



「・・・響也」

私は後ろから声を掛ける。

ビクっと肩が動き、響也は振り向いた。

「隣、いい?」

「あっ、あぁ」

私は隣の長椅子に座る。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

響也も私も何も話さない。

沈黙が辛くなり、私は口を開いた。



「この前のこと・・・ごめんね」

「・・・なんでかなでが謝るんだよ」

「だって私がつまずいたからいけなかったのに、勝手に逃げちゃったし・・・」

私はうつむく。

「あれは・・・事故だったんだから仕方ないだろ。もう気にするな。俺も気にしないから」

「うん・・・」

「だから、ほら。今までみたいに普通に話しようぜ。なんか、こんなんじゃ調子狂う」

響也はわざと明るい声で言っている様だった。

「そうだね。私も、今のままじゃ落ち着かないよ」

私もなるべく明るく聞こえるように言った。

「よし、じゃあこの話は終わりな!」

響也が立ち上がる。

そして、「いつか・・・ちゃんとするから・・・」と私に聞こえるか聞こえないか位の声で言った。





その瞬間、またニアの言葉が蘇る。

そして私は「・・・いつかなんて、待てない・・・かも」と呟いた。

「えっ?」響也は聞こえていなかったようで聞き返してくる。

私も立ち上がり、響也の頬にキスをした。

「なっ、お前何して・・・!」

「いつかなんて言うんだもん・・・それに、ニアが一歩踏み出せって・・・」私は響也と顔を合わせないようにして言う。

「支倉の奴、かなでに余計なこと吹き込みやがって・・・」響也は小さな声で毒づく。

「だけど今は恥ずかしいからその・・・ほっぺただけど・・・」

自分でしたことながら、どんどん恥ずかしくなってくる。それとともに顔も熱くなってくる



「・・・かなで」

「・・・なに?」響也の方を向きながら言う。

その瞬間、唇が触れあう。

「ん・・・」

響也の顔が離れる。

私は何が起こったか理解出来ずに、響也をじっと見ることしか出来ない。

「・・・あんまり見るなよ!・・・恥ずかしいから」響也の顔は赤い。

「だって響也が!」同じように顔を赤くしながら抗議する。

「待てないって言ったのはお前だろ」

「あれは!・・・勢いっていうか・・・」

「・・・しばらく黙ってろ」と響也は言って、私を抱き締める。

「うぅ〜、反則だよ・・・」

「先に反則したのはかなでだろ!」



正論を言われ、「・・・響也のバカ」と私は精一杯の反論をする。



(だけど、そんな響也から離れられない私もバカ、なのかな)

そんなことを考えて、私は微笑んだのだった―――







fin







この作品は「君と過ごす夏」という企画サイト様に提出のお話です。

「キス」がテーマということでこんな感じのお話にしました。

もうこの2人はずっとイチャイチャしてればいいと思います(笑)
ところでかなでのキャラはこんなんで良かったのかどうか不安が残りますが、楽しんで書けました♪

最後に主催の久遠琉依さん、ありがとうございました!

2010.10.01


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