。。。空色キャンディ。。。




朝日が射し込んでくる寮の部屋の中。



「はぁ・・・」とかなではため息をつく。

そして、ちらりと机の上の写真たてを見る。

中の写真は、少し前の全国大会で優勝した後に皆で撮ったものだった。

写っているのは、律・大地・ハル・かなで・・・そして、響也。



かなでと響也は、あの写真を撮った日から付き合い始めていた。

けれど・・・



「響也、私のことどう思ってるのかな・・・」



確かに、お昼を一緒に食べたり、一緒に学校から帰ったりはしている。でも、それは付き合う前でもしていたことで。

恋人になってから変わったことが、特になかったのだ。



だから最近、かなでは本当にこれで付き合っていると言えるのか、ということを度々考えていた。



「あっ、そろそろ学校行かないと」

時計を確認したかなでは言って、部屋を出た。





その日の放課後。オーケストラ部の部室には、かなでと響也しかいなかった。

3年生たちはもうあまり部活にこなくなってきていた。

全国大会が終わってあまりたっていないということと、大会などもないという理由で近頃は部活が早めに終わることも多かった。

今日もまだ5時半をまわったところだが、部活は終わっている。

後片付けをすることになった2人だけが残っているのだった。



かなではなにを話していいのか思いつかず、作業に集中していた。

響也もその雰囲気を感じ取っているようで、あえて口を開こうとはしていなかった。





しかし、さすがに沈黙に耐えるのも辛くなったかなでは作業の手を休め、おもいきって「・・・ねぇ、響也?」と彼を呼んだ。

「ん、なんだ?」と響也は振り向いて返事をする。

「あの、ね・・・響也は・・・私のこと、どう思ってるの?」

「は?なんだよいきなり」

響也は質問の意味がわからないといった感じで聞き返す。

「だって私たち付き合ってるのに、今までとなにも変ってないから・・・」

「!・・・」響也は一瞬驚いた表情をして黙りこむ。

「ちゃんとデートしたいとか・・・手、つなぎたいとか。そう思ってるの、私だけなのかって・・・」

かなでは話しながらうつむく。





その時。「まったく、お前たちは仕方がないな。我輩が助けてやるのだ!」という声がかなでの耳に届いた。

「えっ・・・?」とかなでが言った途端、2人は光に包まれた。





「・・・・・・あれ?なんとも、ない?」

かなでは自分のあちこちを確認するが、特に違いはない。

周りの景色もなんら変化はない。いつも通りの部室だ。

ただし、1つだけさっきと変ったことがあった。



「響也?」



さっきまで部室に居たはずの響也の姿がなかった。

「どこ行ったんだろう・・・?」



かなでは響也を探すために歩き出そうとして、ふと自分の足元をみた。

「・・・・・・!響也!?」

そこにいたのは、10p程になって気絶している響也だった。









「うっ・・・」と言う声がかなでの耳に届く。

「あっ、響也!よかったー、目が覚めて」

かなでは安堵の表情を浮かべる。



気絶した響也をどうしていいか分からず、かなではとりあえず部室の机の上に寝かせていた。



「・・・・・・かなで!?お前、なんでそんなに大きいんだ!?」と響也は言いながら勢いよく起き上がる。

「・・・あの、響也・・・周り・・・」

「周り・・・?って、うわぁ!なんで楽器とか楽譜とかがこんなに大きいんだ!?」響也はさらにパニックになってしまったようだ。

「響也!周りが大きくなったんじゃなくて、響也が小さくなっちゃってるんだってば!」

「えっ・・・」

それまで慌てていた響也の動きが止まる。

「っ・・・・・・なんだこれー!!」





2に続く
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