。。。空色キャンディ。。。




「・・・具合はどうなんだ?」と佐伯は聞く。

「熱は一応下がったよ。咳がでるんだけどね」と言った矢先、七瀬は小さな咳をした。

「ごめんね。学年演劇、主役なのに。みんなに迷惑かけちゃってるよね」七瀬は言いながら俯く。

「そんなこと、気にしなくたっていいんだよ」と佐伯は言う。

「けど・・・」

「他の奴らだってそう言ってたよ。お前は頑張りすぎだから、少しくらい休んだ方がいいってな」

「でもバイトだって、風邪ひいたままで喫茶店で働くわけにもいかないし・・・」と七瀬はさらに食い下がる。

「それだって、何日かなら俺とじいちゃんでどうにかなる。それより、今は1日でも早く治すことを考えろ」と佐伯は言って、七瀬の頭をぽんぽんと叩く。

「・・・うん、そうだよね。気にしてもどうにもならないもんね」と七瀬は言って顔をあげる。

七瀬もそれにつられて微笑む。



「そう言えば風邪って、人にうつすと治るって言うよな」と佐伯が言う。

「あー、聞いたことある。ホントなのかな?」と七瀬は首を傾げる。

「・・・ためしてみるか?」

「えっ?どういう・・・」七瀬の言葉が止まる。

七瀬と佐伯の唇が触れあったからだ。

「てっ、瑛くん!?」七瀬の顔は真っ赤だ。

「・・・こうすればうつるんじゃないか?」と佐伯は言う。

七瀬は恥ずかしいのをこらえきれず、佐伯から顔を背けて、「そっ、そんなことされたら、また熱上がっちゃうよ・・・」と言う。

「顔赤い。本当に熱上がった?」と佐伯は七瀬に聞く。

「う――、瑛くんのせいでしょ!絶対わざと言ってるよね?」と七瀬が言い返すと、佐伯はあっさり

「うん」と答えた。

「ひどいなぁ・・・」

「お前がいつも俺が屈折してるって言うから、素直になっただけだろ」

「そんなところで素直になられても・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

なんとなく話すことが思いつかず、無言になってしまう。



「・・・じゃあ俺、帰るから。お前はおとなしく寝とけ」と佐伯は沈黙を破って言った。

「うん、わかった」

「じゃあな」と佐伯は言って立ち上がって帰ろうとする。

「・・・瑛くん!」と私はその背中に向かって、呼びかける。

「なに?」と佐伯は言いながら振り向く。

「・・・ありがとう。瑛くんが来てくれて、嬉しかった」

「・・・どういたしまして。早く風邪治せよ」と言って、佐伯は部屋を出て行った。

パタンとドアが閉まる。





「びっくりした・・・会いたいって思ったら本当に来るんだもん・・・しかも、いきなり・・・」とそこから先は恥ずかしくなり、言葉にならなかった。

七瀬は、赤い顔のままベッドの中に潜り込んだ。









翌日。学校に行くと、佐伯は休みだと担任の先生が言った。

七瀬は、恥ずかしくて机に突っ伏したいのを必死にこらえるのだった。









fin







加地くんの話よりも終わりをどうするか迷いました(--:)

でもどうにかまとまって(?)よかったですー(>-<)

もっと詳しいあとがきをブログに載せているので、そちらもよければみてください(^^)

2010.1.9


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テーマ「人外ファンタジー」
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