。。。空色キャンディ。。。



「・・・・・・和樹先輩・・・?」と香穂子は、拍手をした人物をみて言う。

「また演奏上手くなったね、香穂ちゃん」と火原は香穂子に近づいていきながら言う。

「今日は、オケ部の練習があったんじゃ・・・」

「うん、最初は参加してたんだけど・・・どうしても抜けたいって言って、早く切り上げさせてもらったんだ」

「そうなんですか・・・ここに、なにか用事ですか?」

「・・・香穂ちゃんに会いたいと思って」

「えっ、私に会うために練習休んだんですか?・・・嬉しいですけど、ちゃんと練習でないとダメですよ」

「だって最近、なんか無理してるみたいだから。ちゃんと話聞きたくて。」

「!・・・・・・」

火原は香穂子が寂しく思っていることを、なんとなく感じとっていたのだ。



「俺には言えないこと?」

「・・・・・・」香穂子は自分の思いを言うかどうか迷い、黙り込む。

しかし火原は、香穂子が話し出すのをゆっくりと待っている。

そんな様子をみて、話す決心をして口を開いた。

「私・・・寂しいんです。学校に和樹先輩がいなくて」

「・・・・・・」

「放課後も時々来てくれるし、休みの日だって会ってくれてます。けど・・・それでも寂しいんです」

香穂子は、火原から目を逸らす。

「和樹先輩は何も悪くないんです。これは、私のわがままだから・・・」

言い終わると同時に、香穂子は俯いてしまう。



2人とも少しの間無言になるが、火原がその沈黙を破り「・・・香穂ちゃん、涙」と言った。

「えっ・・・」言われて初めて気づいた。

香穂子の瞳からは、涙が溢れてきていた。

慌てて自分の手で拭いていると、火原が香穂子を抱きしめた。

「!・・・和樹先輩・・・?」

「ごめん。君を泣かせて。俺、最低だ」

「先輩は本当に悪くないです。私がただ・・・」

「ううん、そんなことない。俺がもっと早く、ちゃんと話を聞いてあげてれば良かった」

「・・・・・・」



火原は香穂子から腕を解いて話始める。

「俺もね、寂しいよ。香穂ちゃんが学校にいなくて」

「先輩もですか?」

「うん。授業中とかでも構わず会いたくなっちゃって、先生の話とかまともに聞けてない時もあるくらい」

「それはダメですよ」と香穂子は言いながらも微笑む。

「だからね、会いたい時は1人で抱え込まないで、ちゃんと言って?俺も、ちゃんと言うから」火原は、香穂子をしっかりと見て言う。

「・・・会いたいって言っても、迷惑じゃないですか?」

「もちろん。香穂ちゃんだったらわがまま言われても、全然迷惑じゃないよ。むしろ嬉しいくらい」

「・・・・・・わかりました。これからはちゃんと言います」

香穂子はうなずく。



「うん、約束。あっ、指切りしようか?」

「指切りですか?いいですよ」と香穂子は言いながら笑う。

「「指切りーげんまん、うそついたら、針千本のーます。指切った」」と2人は歌いながら指切りをする。

「これで大丈夫だね」と火原は言って、太陽みたいに明るい笑顔になる。

「はい。・・・和樹先輩、ありがとうございました」と香穂子は言って、頭を下げる。

「俺は別に、なんにもしてないよ?」

「そんなことないです。私、先輩と話して元気でました」

「そう?それなら良かった。香穂ちゃんが笑顔だと、俺も元気もらえるしね」

「先輩・・・」香穂子は恥ずかしさで、頬がほんのりと赤くなる。

「じゃあ、そろそろ帰ろうか?」

「はい」

2人は並んで歩き出した。









fin







私はどうやら最後が苦手みたいです。また苦労した(--)

オリジナル小説は、ここまで苦労しない時もあるんだけどなー・・・

もっと詳しいあとがきをブログに載せているので、そちらもよければみてください(^^)

2010.1.24


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