。。。空色キャンディ。。。




次の日の放課後。

私は、再び瑛くんを探していた。

(さっきの数学、わからないところがあったんだよね・・・瑛くんに聞きたいんだけど・・・どこかな)

色々なところをしばらく見て回る。

と、廊下で瑛くんと1人の女の子が話しているのをみつけた。

(あれって・・・永野さん?)

永野美奈さん。2年生で私と同じクラスだ。勉強も出来る方だし、なにより料理が得意だ。バレンタインの時などは、男女関係なくクラスの全員に手作りのチョコを渡していた。

(なに話してるんだろう・・・)

2人の様子をみていると、なんだか楽しげだった。瑛くんが笑っている。

私は、思わずその場を離れるために駆け出していた。

そしてそのまま校舎をとびだし、正門を通り抜け、少し進んだところでやっと足を止めた。

呼吸が落ちつかない。心音が聴こえそうだ。

そんな中、ぼんやりと考える。

(なんだろ、私・・・おかしいな・・・瑛くんが女の子と話してるなんていつものことなのに・・・なんでこんなに、変な気持になってるのかな・・・・・・)

もやもやとして、気分が悪い。

(・・・・・・早く家に帰って、寝ちゃおうかな。そうすればきっと楽になる)

私は走り出した。









あの日から私はなんとなく瑛くんを避けるようになった。

学校でも目を合わさず、バイトの時も必要最低限の会話しかしなかった。

瑛くんがそんな私に違和感を感じていることもわかってはいたが、それでも気づかないふりをした。

しかしある日。

私が家に向かって歩いていると、後ろから「ナツ!」と瑛くんが言う声が聞こえた。

一瞬動きが止まるが、無視して全速力で走り出す。

「あっ、おい!」と瑛くんは言い、私を追いかけて来る。

必死に走るがスポーツ万能の彼に勝てるはずもなく、あっさりと追いつかれて腕をつかまれた。

「なんで逃げたりするんだよ」と瑛くんは聞いてくる。

「・・・・・・」私は答えない。

「・・・それに最近、俺のこと避けてるだろ。なんでだよ?」とさらに聞いてくる。

「・・・・・・」それでも私は口を開かなかった。
「・・・・・・答えない気か・・・じゃあ、とりあえず来い!」と瑛くんは私の腕を引いて強引に歩き出した。

私はわけが解らなかったが、腕を引かれるままに瑛くんの後ろを歩いていった。









到着した場所は海だった。休日に瑛くんと出かけた後、何回か来たことがあるし、夏は泳ぎにも来た。

瑛くんは砂浜に黙って座った。どうしていいかわからず、とりあえず私も瑛くんの隣に座る。

2人とも何も話し出さない。あたりには人がおらず、波の音だけが響いている。

私は、これからなにを言われるのかわからず、少し不安な気持で瑛くんの横顔を盗み見る。

(・・・瑛くんの顔こんなに近くで見たのって、久しぶりかも・・・)

と私が考えていると、「やっぱいいな、海って。落ち着く」と瑛くんが呟く様に言った。

「・・・・・・そうだね」と私も答える。

「やっと口をきく気になったか」とため息混じりに瑛くんが言う。

「・・・ごめん」私はなんだが申し訳ない気持になって謝った。

「で、さっきの質問に答える気はでたか?」と瑛くんは聞いてくる。

まだ少しためらいはあったが、私は話す決心をして口を開いた。





「・・・この前、瑛くんが私と同じクラスの永野さんと話してるのを見たの」

「・・・・・・」瑛くんは黙って、私の話に耳を傾けている。

「なにを話してるのかは遠くてわからなかったけど、なんだか楽しそうな感じだった」一旦言葉を止めて、ゆっくりと考えながら話す。

「それを見てたら・・・なんか、こう・・・もやもやしたっていうか・・・」上手く自分の思ったことが言葉に出来ない。

「それからなんとなく、瑛くんと顔合わせにくくなっちゃって・・・」私はうつむく。

「永野さん・・・あぁ、あの時か」瑛くんはあの時のことを思い出したようだ。

「あれは、永野さんが落とした写真を拾っただけだ」

「えっ、写真・・・?」

「その拾った写真が海の写真だったから、おもわず海が好きなのか聞いて話してただけ」

「・・・そっか。海の話してたから、瑛くん楽しそうだったんだ」

「だから、別に・・・その・・・永野さんが好きとか、そういうんじゃないから・・・」

「あっ、うん・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

2人とも沈黙する。

先に口を開いたのは瑛くんだった。





「珊瑚礁、来るか?・・・コーヒー淹れてやるよ」と瑛くんは言いながら立ち上がる。

「うっ、うん!」と私は明るい声で答えて、自分も立ち上がる。

瑛くんは返事を聞き、私に背を向けて歩き出す。

しかし、数歩進んだ所で立ち止まった。

「・・・言っとくけど俺が店の客以外でコーヒー淹れるの・・・お前だけだから」と瑛くんは言う。

そして再び歩き出してしまった。

私はその意味を考えたが、すぐにわからなかったので考えるのを止め、「あっ、待ってよ!」と言って瑛くんを追いかけた。









fin








〜おまけ 瑛くんの憂鬱〜


「あいつ、結局あの後普通にコーヒー飲んで帰りやがって」

瑛は、自分の部屋でため息混じりに呟いた。

海辺でナツと話をした時、最後に「・・・言っとくけど俺が店の客以外でコーヒー淹れるの・・・お前だけだから」と半分告白めいたことを言ったのにも関わらず、彼女はいつもどおりにしていただけだったのだ。

「ったく・・・鈍いにも程がある。いいかげん気づけっつーの」

そう言いながらベッドの上に倒れこむ。

(けど、そういうところが・・・ほっとけないっていうかな・・・)

「はぁ・・・」

今度は完全にため息つく。

(けど、それにしても鈍すぎるよな・・・もう少し感じ取れよな・・・あー、でもあいつにそれは無理か・・・・・・やっぱここは、はっきり言った方がいいのかもな・・・)

瑛は1人悶々と考え続けるのであった――――








サイト始めてから、初の捧げものです!

ナツさん、お待たせしてほんと―――にすいませんでした!!



えと、内容としては2人はお互いに好きなんだけど付き合ってはいない状態とのことでしたので、こんなカンジのお話にしてみました。

ちゃんとお互い好きと思っているように表現出来ているかどうか不安です(・・:)

しかも、デートシーンは結構省いて書いてしまいました(汗)

だって、水族館なんて私は最近行ってないから、あんまりどんなカンジだったか覚えてないんだもの!(爆)

本当に至らないところばかりで、申し訳ない・・・

あっ、それから本編中で出てくる「パープルグッピー」という魚は本当に存在している魚です。

なにか、ネタの中で使えるカワイイ魚とかいないかな?と探して偶然みつけたので、2人に観賞してもらいました(^^)



さてさて、そろそろあとがきを終りたいと思います。

ナツさん、読んでダメなところがあったら言ってください!精進しますので(><)

それでは。青葉紅祢でした☆

2010.03.08


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -