30.風になる
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その時が来れば必ずわかる。
そういう確信があった。
だから心配はしていなかったけれど、それがいつなのかはわからなかった。
ただ、そう遠くない日にやってくるという漠然とした予感だけが胸の内にポツリと灯っていた。
寝る場所なんてどこでもいいと思っていたけれど、カカシが一室用意してくれていた。
ありがたく行為に甘えることにして、お金のことと合わせて礼を言った。
「恩返しはできそうなの?」
サラは大きく頷いた。
「時が来れば、必ず」
カカシはがんばってね、と言って笑った。
シカマルとはちょくちょく顔を合わせた。
もちろんあの場所でだ。
サラの方が先にいることもあれば、彼の方が先にいることもあった。
先に来た方が後から来た方を「また来たのか」と茶化すのが習慣になっていた。
「いつまでいるんだ?」
「うーん、あと少し」
「ずいぶんと大雑把だな」
「大雑把なんて、年の割にずいぶんと難しい言葉使うね」
「話そらしてんやんの」
「ホントにわからないのよ」
取り留めのない会話をたくさんした。
「ね、仲のいい子、いる?」
「まー、一応な」
「一応?その程度の関係?」
「んなことねーよ」
「じゃ、親友?」
「…まあ」
「なんて子?」
「秋道チョウジ」
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