05.嵐の日の真実
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サクラは最近、五代目の元について修行をしていると聞いている。
この時間なら五代目のところにいるだろう。
シカマルは、火影の執務室へ向かっていた。
一番二人がいる可能性が高いし、いなかったとしても行き先を聞くことはできると思ったからだ。
しかし、できれば五代目に会うのは避けたい。
おそらく彼女は、シカマルが何の目的でサクラを訪ねてきたのか、真っ先に気づくだろう。
一度任された以上、口出しをされるいわれもないと思うのだが、あの方の機嫌を損ねるのは恐ろしい。
鳥がいっせいに羽ばたく音に耳が反応する。
飛び立った元の方向を向くと、そこは木ノ葉の演習場のひとつだった。
そこからなにやら破壊音や怒声のようなものが聞こえてくる。
近づいていくと、地を揺るがすような轟音と、恐ろしいが、確かに女性のものである力強い発声が響いた。
さらに詳しく言うなら、これはサクラと五代目の声に違いない。
どうやら実践訓練の最中のようだ。
シカマルは、そっと演習場の中に入っていった。
この演習場は円に近い形をしている。
出入り口から入ると開けた平地があり、その周りを囲むようにして、森が三日月状に広がっていた。
演習場の地面には、いたるところに大きな穴が開いていた。
その穴の合間を縫うように深いヒビが走っている。
二人の姿は見えない。
しかし、北東の方角の森が騒がしく揺れ、時折、木が倒れる音が聞こえる。
今はあそこで組み手を行っているのだろう。
綱手に見つかりたくなかったシカマルは、入り口の左手にある森の中に入っていった。
ここで二人の修行が一段落するのを待ち、サクラに声をかけるつもりだった。
大きな木の幹に身体を寄りかける。
ひときわ大きな打撃音と同時に、短い悲鳴が聞こえ、何かが勢いよく転がってきた。
砂煙が立つ。
サクラだ。
「どうした、受身も取れんのか。医療忍者の負傷が隊の命運を決めると教えたはずだが」
森の中から綱手が厳しい表情で出てきた。
サクラが苦しそうに顔をゆがめて立ち上がる。
「もう一度、お願いします」
「いいか、戦闘において必要なのは、瞬発力と判断力だ。一瞬の迷いもあってはならん。攻撃と回避、優先すべきは回避だ。防御ではない、回避だぞ。だからといって、防戦一方では、次第に追い詰められるのは必至。相手の隙をうかがい、チャンスがあれば迷わず打て」
「はい」
「では、私の攻撃をかわしつつ、私に一撃入れてみろ。かするだけでもかまわん」
「はい」
「いくぞ」
気合の一声とともに綱手がサクラに突っ込んでいく。
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