17.誰なんだ
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「こんにちはぁー!」
「あ、こらいの!マガナミは人見知りだって言ったでしょ!初対面のあんたが先頭切ってどうするのよ!」
勢いよく奈良家の玄関をくぐったいのをサクラが制した。
「別にあんたたちも一緒なんだから平気でしょー」
「あんたのその勢いが彼女を怯ませるの!」
「なぁにを偉そうに!」
「私の方があんたより彼女を知ってるのよ!」
何故サクラがいるのかというと、ここに来る途中に道でばったり会い、いのが誘ったからだ。
仲がいいのか悪いのか。
どちらかにしてほしいとシカマルは思う。
騒ぎを聞きつけて、奥からひょっこりとマガナミが姿を現した。
サクラやチョウジの姿を認めて目が輝く。
そしてそれから、見覚えのない人物、いのに目を留めてちらりと警戒心を覗かせた。
「帰ったぜ。マガナミ、お前に客だ」
シカマルの声に、残りの三人は一斉に奥に視線を投げた。
一同の視線を受けてマガナミは数歩後ずさる。
いのがマガナミの方へ歩み寄った。
「あー、こら、いの!」
サクラが止めるが、いのは構わず歩いて行く。
マガナミはオドオドと更に数歩後退した。
「初めましてマガナミさん。私は山中いの。よろしく!」
いのは手に持っていた花をマガナミに差し出す。
薄紫色の小さな花が集まって咲いている可愛らしい印象の花だ。
マガナミはキョトンとした瞳でその花を眺めている。
「シオンっていうのよ。花言葉は『君を忘れない』。今日の出会いを忘れないように!あなたにあげるわ!」
いのはマガナミの手を取って、その手にシオンを握らせた。
マガナミは握らされたシオンの花をマジマジと観察する。
「きれい」
いのは嬉しそうに頷いた。
「でしょう?」
マガナミは、しばらく視線をウロウロさせていたが、やがて遠慮がちにいのの顔を見た。
「あの…ありがとう」
「どういたしまして!」
サクラとチョウジがホッとした表情を浮かべた。
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