生きている意味

12.流サワト


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翌日、大通りを歩いていたシカマルは、チョウジとアスマが一緒にいるのを見つけて声を掛けた。

「やあ、シカマル」

「よっ、調子はどうだ?」

二人は表情を弛めて近寄ってくる。

「うっす。まあボチボチっす」

「ねえねえシカマル、サワト帰ってきたよ。ボクたち昨日会ったんだ。ね、先生」

「おー。長期任務の後だってのに、あいつ相変わらずケロッとした顔してたぞ」

アスマが苦笑した。

長年で培った親しみがそこにはある。

「あー、オレも会った。チラッとだけどな」

「久しぶりだよね。いのには出発前に会ったけど、サワトはいつの間にか任務に出ちゃったから、もう随分になるんじゃないかな?」

「だな。久々に会ったとは思えないほどの馴染みっぷりだったけどな」

シカマルは軽く笑った。

「近々食事でも行くか!いのはまだしばらくかかるらしいが、あいつが帰って来た時はまた集まればいいしな」

アスマの提案にチョウジがガッツポーズを作る。

「ヨッシャー!先生、絶対だからね!」

候補の店の名前を挙げ始めるチョウジを尻目に、シカマルはアスマにからかうように囁いた。

「いのの『帰還情報』は、しっかり仕入れてるんスね」

シカマルの突っ込みにアスマは声を詰まらせる。



そう、アスマはいのの『出立情報』は把握していなかった。

想い人に現を抜かし、聞き漏らしていたものと思われる。



「ったくおめぇは、余計なことばっかり覚えてやがって…」

唸るアスマに、シカマルは軽快に喉を鳴らした。

「じゃあ早速サワトに予定聞かないとね」

食事についての妄想をひとしきり終えたチョウジが拳を振り上げた。

シカマルはチョウジを振り返る。

「サワトなら、しばらくすれば来るぜ。これから任務で待ち合わせてんだ」

アスマが片眉をひそめて頭に手を当てた。

「長期任務の翌日から早速任務か」

「こんなご時世っすからね。それにそんなに難しい任務じゃねぇから」

「そうか。まあ、疲れもあるだろうからフォローしてやれよ」

「わかってるっスよ」



一区切りついた会話に、なんとなく三人同時に息をついた。

周囲のざわめきが耳に入ってくる。




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