生きている意味

05.嵐の日の真実


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葉を揺らす風の音が、周囲にやさしく響く。





やがて、沈黙を破って綱手が口を開いた。



「そうだ、ちょうどいい。シカマル、先日の鉱山集落の件だが、3部隊とも無事に到着して調査を開始したぞ。次の連絡は3日後。今後は3日置きの報告になる」

「問題なしっスか。…とりあえず、今のところは」

「そうだな。今後の連絡が鍵になるだろう」

「そっスね」

さて、と綱手が小さく息をつく。

「そろそろ解散にしよう。サクラ、このあと少し頼みたいことがある。カカシ、お前にも詳しい任務報告を聞きたい」

「はい」

「わかりました」

どうやら3人は火影の執務室に向かうらしい。

伝えることも伝えたので、シカマルは家に戻ることにする。

「じゃあオレはこれで失礼します。サクラ、とりあえず明日病院に行こうと思ってるんだが、いいか」

「わかったわ。時間は合わせてもらっていい?」

「ああ」

「じゃあ、午前と午後の間の休憩に」

「了解。わりーな」

では、と軽く頭を下げて、シカマルは演習場を後にした。








残された三人がシカマルの後姿を見送る。

「シカマルが身元不明人の後見人、ね」

カカシが含んだ口調で呟く。

「綱手様、こう言ってはなんですが、シカマルには向かないのでは」

サクラは懸念して綱手を見る。

「向かない、では困るのだ。あいつは人の上に立つ力量がある。人の扱い方にも慣れておいてもらわなくてはな」

綱手は小さくなってゆくシカマルを見据えた。




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