生きている意味

05.嵐の日の真実


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「でも、さっき犯人はわからないってカカシ先生言ってたわよね。その長郷一族の人たちは教えてくれなかったの?」

ああ、とぼんやりしていた様子のカカシが応じる。

「彼らは必要最小限の情報しか与えない。その時は、里の異変さえ知らせれば十分だと彼らが判断したんだろう」

実際に里は無事だった。

長郷一族の立場も考え、ならば問題はあるまいと、深く詮索はされなかったのだろう。

「でも、火影様も上忍もほとんど出払っていた状態で侵攻されたのに、よく里が無事だったわよね」

「さっき、少女が里を救ったって言ってましたが、その少女って誰なんすか」

サクラとシカマルが思い思いに口にする。

「里を救った少女が誰だったのか、彼女がどうやって里を救ったのか、詳しいことは結局わからないままなのよ。わかってるのは、少女がサラって名前だったってことくらいかね」

「だった」という響きに、今はその人物が里にはいないことを感じ取る。

「その人は」

サクラの問いに、カカシが一瞬押し黙った。

「死んだよ。里の人間ではないんだが、墓はこの里にある。本人の希望でね」

話す口調は、少しトーンが低いものの、いつもの調子だ。

「…そう、なんだ。全然知らなかった。…って、先生、もしかしてそのサラさんって人と顔見知りだったの?」

カカシの口調に、彼女との接点を感じ取ったらしいサクラが半信半疑で尋ねる。

「まーね。彼女の里の滞在許可を取ったの、オレだし」

「だって先生、最初に綱手様が木ノ葉侵略の話をしたとき、覚えがないような顔してたじゃない」

「んー、忘れてたっていうか」

「………先生って、冷たい」

サクラがカカシに冷ややかな視線を送る。

「ハハハ…」

カカシは、サクラの視線に気圧されたのか、苦笑しながら頬の辺りを掻いた。



会話が途切れる。





それをきっかけに、それぞれがしばらく物思いにふけった。





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