05.嵐の日の真実
(7/8)
「でも、さっき犯人はわからないってカカシ先生言ってたわよね。その長郷一族の人たちは教えてくれなかったの?」
ああ、とぼんやりしていた様子のカカシが応じる。
「彼らは必要最小限の情報しか与えない。その時は、里の異変さえ知らせれば十分だと彼らが判断したんだろう」
実際に里は無事だった。
長郷一族の立場も考え、ならば問題はあるまいと、深く詮索はされなかったのだろう。
「でも、火影様も上忍もほとんど出払っていた状態で侵攻されたのに、よく里が無事だったわよね」
「さっき、少女が里を救ったって言ってましたが、その少女って誰なんすか」
サクラとシカマルが思い思いに口にする。
「里を救った少女が誰だったのか、彼女がどうやって里を救ったのか、詳しいことは結局わからないままなのよ。わかってるのは、少女がサラって名前だったってことくらいかね」
「だった」という響きに、今はその人物が里にはいないことを感じ取る。
「その人は」
サクラの問いに、カカシが一瞬押し黙った。
「死んだよ。里の人間ではないんだが、墓はこの里にある。本人の希望でね」
話す口調は、少しトーンが低いものの、いつもの調子だ。
「…そう、なんだ。全然知らなかった。…って、先生、もしかしてそのサラさんって人と顔見知りだったの?」
カカシの口調に、彼女との接点を感じ取ったらしいサクラが半信半疑で尋ねる。
「まーね。彼女の里の滞在許可を取ったの、オレだし」
「だって先生、最初に綱手様が木ノ葉侵略の話をしたとき、覚えがないような顔してたじゃない」
「んー、忘れてたっていうか」
「………先生って、冷たい」
サクラがカカシに冷ややかな視線を送る。
「ハハハ…」
カカシは、サクラの視線に気圧されたのか、苦笑しながら頬の辺りを掻いた。
会話が途切れる。
それをきっかけに、それぞれがしばらく物思いにふけった。
(7/8)
*←|→#
[bookmark]
←back
[ back to top ]