生きている意味

02.小さな異変


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「ただ人口が増えているだけじゃないんスね」

うむ、と綱手は組んだ手にあごを乗せた。

「村人は、人口は増えていないと言う」

「はぁ、嘘をついてるってことっスか」

「いや、それがそうでもないらしい。村人は新たに集落に入った人間たちを昔からともに暮らしていたと思っているようでな」

「それもフリってことは」

「それがな…。
実は、白を切っているだけなのかどうか、その辺りを暗部の諜報班に探らせていた。
2週間前の報告では、
『前回の調査と比べ、村人の人数は38人から40人に増加しているが、村人は増加した2名をもともと村で暮らしていると証言した』
とある。
前回の調査とは、半年前の調査のことだ。
しかし、昨晩届いた報告書には『現在村人の人数は42人のまま動きはなし』とあった」

シカマルは眉をひそめた。

「42人の、まま」

「そうだ。前回の報告は40人、今回の報告は42人。増えているだろう」

「暗部は増えたと認識してないってことっスね」

「そうだ。どう思う」

「そうっスね…村人の嘘じゃないとすると、第三者が絡んでるんスかね。
村人を幻術にかけてるとか…それとも、他の特殊な術か。
村に結界が張られているような状態にあるのかもしれません。
そのエリア内に入った者は、しばらくいると術の影響を受けて、正常な判断力を失うような。
なんにせよ、村人40人を術にかけて、更にうちの暗部も術中に落とすとなると、かなりの実力を持ってるか、巧妙な手口を使ってるってことになります。
おそらく忍かそれに類する人間でしょう。

けど、問題はどっちかってぇとその目的っす。
一体何のためにそんなめんどくせー真似するんだか。
周辺地域の情報収集は常識だから、村にいる人間だけ騙したところで、外からは筒抜け、異変はすぐに知れる。
事実、うちはもうその情報を掴んでます。
そんなことにすら考えが及ばないやつの仕業なのか、それともそれを承知の上なのか。
承知の上だとすれば、一体何を狙ってんだか…」

「そうだな。とにかくもう一度、別の部隊を現場に向かわせようと思ってる。その前にお前の意見を聞いておきたくてな」

「…そうっスね、今は仮に、何らかの術が村に掛けられているものとして考えましょう。
向かわせるのは三部隊、一部隊を集落に入れて二部隊を村の外に残す。
んで、村の外も近距離と中距離に一部隊ずつ配置して、どの範囲まで影響が及ぶのか知っておく、というのは」

「うむ…そうだな。そうしよう」

綱手とシズネが視線を交わし、シズネは小さく頷くと部屋を去っていった。




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