生きている意味

05.嵐の日の真実


(5/8)


それにしても、とカカシが話に入る。

「オレのいた地域はそうでもありませんでしたが、この辺りはかなりの雨が降ったらしいですね」

「そうだな、ここ最近で一番の雨量かもしれん」



頷く綱手に、サクラが反応する。



「でも昔、これよりひどい天気の日ありましたよね。雨が槍みたいに降ってきて、雷まで鳴ってた。私、みんなで避難したの覚えてるもの」





やはりサクラもあの日のことを覚えていた。

子どもにしてみたら、里中で避難行動を取るなど、めったにないビッグイベントである。





「そーいえばそーだったね」

「なんだ、そんな悪天候の日があったのか」





その頃、綱手は各地を転々としており、里にはいない。





「悪天候っつーか、異常気象っスよ、あれは」

「そんなにひどかったのか。…待てよ」

綱手は記憶を手繰り寄せるように俯いた。

「もしやあの事件のことか?」

「あの事件?」

三人ともども不思議そうな顔をする。





「少女が救ったのだろう、異常気象を利用した木ノ葉侵略を」





予想外の台詞に虚を衝かれる。

異常気象を利用した木ノ葉侵略。

初めて耳にすることだ。

サクラとカカシの様子を伺うと、同様に怪訝な顔をしていたが、やがて、カカシが何かに思い至ったらしく、少し目を見開いた。

そしてその目をやわらかく細める。

「…そうでしたね。ご存知だったんですか」

「過去のファイルでな」

どうやら事実であるらしい。

ということは、あの異常気象は人工的なものだったということか。

「なになに、どういうこと」

サクラが、わけがわからないというように説明を求める。

「あの時の大雨は、実はただの異常気象じゃなかったんだな、これが」





「何があったんすか」





(5/8)

- 21/232 -

[bookmark]



back

[ back to top ]

- ナノ -