29.木ノ葉の里
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一人挙げるなら、あなたの。
一人挙げるなら、サクラの。
一人挙げるならいのの。
チョウジ、ヨシノ、シカク、アスマ、カカシ…。
ダメだ、キリがないや。
私はこの里の人々に…この里のコミュニティに救われたんだ。
「私、この里に恩義があるの」
「ふーん…」
あからさまに興味なさそうなシカマルに、サラは苦笑する。
「きみが聞いたんじゃない。ま、関係ないか」
横を向くと、シカマルは眠そうな顔であくびをしていた。
「そうそう、きみは昼寝しに来たんだもんね」
サラはクスリと笑ってベンチに寝転がった。
シカマルはそんなサラを横目に見て、自分も仰向けになる。
「ホント、気持ちいい」
「ああ」
緩やかに流れる雲のように、ゆっくりと時間が過ぎてゆく。
しばらくして横を向くと、彼は目を閉じていた。
眠ってしまったのだろうか?
サラはじっとその顔を眺める。
いとけない、まだ小さな少年。
愛おしいと思った。
この陽気なら風邪を引くこともないだろう。
サラは静かに立ち上がった。
「行くのか?」
歩き出そうとしたところで声が掛かった。
「うん、またね、シカマル」
振り返って微笑むと、なんとも曖昧な返事が返ってきた。
20160611
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