生きている意味

05.嵐の日の真実


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「で、お前は何の用だ」





綱手の声が響いた。

誰か来たのかと出入り口のほうを向くが、誰の気配もない。

まさか、と驚いて綱手のほうを見ると、綱手の目はまっすぐこちらを見ている。





気づかれてたのか。





苦々しいのとばつが悪いのとで、シカマルは足取り重く、森の中から出ていった。

「シカマル、いつからいたの」

サクラが驚いて声をあげる。

「ああ、途中からな」

頭をかく。

「どうしたのよ、綱手様に用?」

「いや、用があんのはお前だ、サクラ」

「私?」

「シカマル、お前の魂胆はわかっているぞ。少女の面倒をサクラに押し付けるつもりだろう」

綱手が割って入る。

やはり用向きは読まれていたようだ。

綱手が何かを言いかける。





その時、スッと人影が降り立った。





「少女ってのは、誰のことです?」





とんがった銀髪に、顔の半分以上を覆うマスク。

額に斜めに掛けられた額当て。

はたけカカシだ。





「カカシ、帰ったか」

「ども」

「カカシ先生、お帰りなさい」

「サクラ。どうだ、修行ははかどってるか」

カカシの問いにサクラは苦笑する。

「まあまあです」

カカシがシカマルに目を留める。

「今日はシカマルも一緒か。めずらしいな。修行か?」

シカマルもつられて苦笑する。

「いや、オレはちょっとサクラに用があるだけっスよ。任務だったんスか」

「そうなのよ…っと」

カカシは思い出したように綱手のほうに向き直る。

真顔になった綱手に、小声で何事かを耳打ちした。





「そうか」

綱手の返事は短い。

「綱手様」

サクラが何か言いたげに綱手を見る。

「暁の動向も、大蛇丸のことも、今のところはわからん、ということだ」

「そうですか」

気落ちしたようにため息をつく。

「まあ気を落とすな。今、目立った動きがないのはこちらにとっても好都合だからな」

綱手がサクラの肩をたたく。

「そうですね」

迷いを振り切るように頷いた。





そして、ふっとシカマルのほうを向く。





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