生きている意味

29.木ノ葉の里


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「サラと言います」

「それで、サラ。きみ、どこの人?」

「どこの…?」

「ほら、身元不明な上に滞在許可もないんだよね、きみ。そういう人間をあまり長く置いておくわけにはいかないのよ」

「あ…」

サラは困ってしまった。

まさかありのままの境遇を話すわけにもいかない。

黙り込んだサラを見て、カカシはもう一度うなった。

「うーん、困ったね、どうも」

木ノ葉にいられなくなるのは困る。

けれど、彼に…木ノ葉に対して嘘をつくのは気が引けた。

「あの…なんとか木ノ葉に置いてもらえませんか?私、木ノ葉でやらなきゃならないことがあるんです。だからここにいられないと困るんです」

「なら、身分を明かすのが一番だと思うんだけど?」

全くもってその通りなので、返す言葉が見つからない。

でも、おとなしく引き下がるわけにもいかないのだ。

「私、木ノ葉に恩があるんです。その恩を返したい。身分は…言えないけど、でもこの里に害をなすようなことはしない。絶対、私の良心に誓って。だから…」

カカシは何も言わず、サラを観察するような目で眺めている。

サラは視線に力を込めて送り返した。

「お願いします。この里に置いてください」


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