29.木ノ葉の里
(2/7)
「サラと言います」
「それで、サラ。きみ、どこの人?」
「どこの…?」
「ほら、身元不明な上に滞在許可もないんだよね、きみ。そういう人間をあまり長く置いておくわけにはいかないのよ」
「あ…」
サラは困ってしまった。
まさかありのままの境遇を話すわけにもいかない。
黙り込んだサラを見て、カカシはもう一度うなった。
「うーん、困ったね、どうも」
木ノ葉にいられなくなるのは困る。
けれど、彼に…木ノ葉に対して嘘をつくのは気が引けた。
「あの…なんとか木ノ葉に置いてもらえませんか?私、木ノ葉でやらなきゃならないことがあるんです。だからここにいられないと困るんです」
「なら、身分を明かすのが一番だと思うんだけど?」
全くもってその通りなので、返す言葉が見つからない。
でも、おとなしく引き下がるわけにもいかないのだ。
「私、木ノ葉に恩があるんです。その恩を返したい。身分は…言えないけど、でもこの里に害をなすようなことはしない。絶対、私の良心に誓って。だから…」
カカシは何も言わず、サラを観察するような目で眺めている。
サラは視線に力を込めて送り返した。
「お願いします。この里に置いてください」
(2/7)
*←|→#
[bookmark]
←back
[ back to top ]