生きている意味

05.嵐の日の真実


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途端に激しい打撃の応酬が始まった。

応酬といっても、サクラは綱手の攻撃を避けることで精一杯のようで、繰り出す打撃には力がこもっておらず、綱手にことごとくかわされていた。





これが女の戦いかよ。

シカマルは、二人の組み合いに気圧され、息を飲んだ。

あの綱手を美しい女と言える父親は、やはり自分より多く生きているだけのことはあるのだろう。





綱手に一撃を食らい、よろけながら立ち上がって、もう一度、と向かっていくサクラを眺める。

熱心なことだ。





サスケを取り戻すことができなかったあの事件が、サクラに大きな影響を与えたのだろう。

もちろん、シカマル自身も、初めて小隊長を勤めたあの時のことは、忘れることができない。

今思えば、あの時を境に、様々なことが動き始めたような気がする。

サスケをさらっていった大蛇丸の手勢。

ナルトを狙ってきた暁という組織。

一体何が始まろうというのか。





動き始めたのは外部だけではない。

ナルトは、修行のために、あの伝説の三忍の一人、自来也と旅に出て未だ戻らない。

サクラもこうして綱手を師に仰ぎ、医療忍者としての修行を開始している。

キバやネジも、あの時を境に、よりいっそう修行に励んでいるようだ。





特にナルトとサクラは、ひとつの確固たる目的のために、必死になって努力している。



いつか、サスケを取り戻すために。










うちはサスケ、か。








うちは一族の天才エリート。

斜に構えた挑発的なやつだった。

何をしても目立つやつで、いつも女子たちが回りを取り巻いていたっけ。

生きる世界が違う人間だと、自分は特に関わり合うつもりはなかった。





だが仲間だった。





オレにとったら、チョウジやいのが里抜けするようなもんだもんな。

そりゃ、必死にもなるか。













悲鳴が聞こえてサクラを見ると、ボロボロの身体で片膝をついている。

「よし、今日はここまでだ」

綱手の言葉に、はい、と返事をする。

声には力がない。





どうやら今日の修行はここまでのようだ。

未だ動く力が戻らない様子のサクラに、綱手が水を差し出している。

サクラのやつ、そうとうキツそうだな。

こんな状態の時に頼みごとをするのもためらわれたが、とりあえず、綱手と別れて、サクラが一人になったら声をかけよう。

シカマルは寄りかかっていた木から身体を起こした。





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