28.生きている意味
(7/10)
やがて、彼女はふわりと微笑した。
「彼と約束をしたの」
彼。
私たちの中で彼と言えば、もちろんシカマルのことだ。
「約束?」
「そう。とても素敵な約束。あなたへのプレゼント」
マガナミは首を傾げる。
彼女は心から嬉しそうに声を弾ませた。
「名前をね、あなたの名前を付けてもらうの」
マガナミは目を瞠った。
「私の、名前を」
「そう。彼があなたに名前をくれる。いい名前だよ。きっと気に入る」
マガナミは熱くなってゆく胸を押さえる。
忌み子…マガナミと呼ばれた名を持たない私に、彼が…私の一番大切な人が名前をくれる。
それは途方もなく魅力的なプレゼントだった。
「本当に…?」
彼女は満面の笑みで応える。
「本当に」
「嬉しい…」
彼女はそうだねと少し涙ぐんだ。
けれど、マガナミは一つ疑問に思った。
「私は彼から名前をもらう。でもあなたは過去で『サラ』と名乗った。どうして?」
彼女はにっこり微笑む。
「私も同じこと聞いた。でも、その理由はきっとすぐにわかるよ」
マガナミは首を捻るしかなかった。
「さ、もういって。嵐の日、私は木ノ葉を救って、あなたの役に立った。約束は果たした。そういえばわかるはず」
マガナミは頷いた。
「ありがとう」
彼女は手を振る。
「がんばって」
マガナミも手を振り返した。
「お疲れ様」
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